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今号テーマ

細胞が語る物語を積み重ねて

民話は聞く人が育てるという小野さんのお話に、小さな生きものの物語を聞く私たちも同じと思いました。リサーチは触覚と睡眠です。触覚は全身に広がっているので特定の感覚細胞への関心が弱かったようですが、小さな細胞のはたらきが面白い突破口になりそうです。レムとノンレム睡眠の意味を示唆する細胞が進化にもつながりそうで今後が楽しみです。サイエンティスト・ライブラリーの矢原徹一先生は子どもの頃抱いた問いを自然の中で追い続け、植物の性の意味を考察されました。生命誌が大切にする生きものへの眼の具体例です。「細胞」を「生命誌アーカイブ」で探すと、次々新しい問いが生れてきます。積み重ねによって「知の宝庫」ができていると自負しています。「生命誌年刊号」は、もう一つの知の宝庫です。手にとってくださると、さまざまな角度から生きることを考えるきっかけが見つかると思います。

TALK

物語りを生きる民話と生命誌

小野和子みやぎ民話の会顧問
中村桂子JT生命誌研究館館長

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SCIENTIST LIBRARY

矢原 徹一九州大学 教授 / 九州大学 持続可能な社会のための決断科学センター センター長

花の性から広がる多様性の世界

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CARD

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2016年年間テーマ

ゆらぐ

今年の動詞は「ゆらぐ」です。生る、関わる、続くなど生きもののありようを示す動詞を考えてきた中で、常に頭の片隅にあった言葉です。一見マイナスに見えますが、実は、生きものが長い間続いてきたのは、「ゆらぐ」という現象があったからです。DNA→RNA→タンパク質という基本的な情報の流れにさえ、ゆらぎがあります。すべてが決まりきっていたら、進化もなくどこかで滅びていたでしょう。ゆらぎが生み出す生きものらしさに眼を向け、それを生かした柔らかさをもつ社会につなぎたいと思います。大地も時にゆらぐことで続いてきていることを忘れずに、生き方を考えなければなりません。

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