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研究館より

中村桂子のちょっと一言

2020.03.02

名誉はちょっとこそばゆいですが

すでにホームページの中でのお知らせもあり、個人的にはお話をしておりますので、御存知の方が多いと思いますが、この3月で、JT生命誌研究館館長という肩書きをはずします。若い人達(それほど若いとは言えない人もいますが)に後を託せるのは幸せなことです。しかも、とてもありがたいことに名誉館長という新しい立場で、生命誌研究館の活動がよりよく展開できるようお手伝いできることになりましたので、まだ皆さまとのおつき合いは続きます。これからもよろしくお願いいたします。

知の世界も日常生活も「人間は生きものであり、自然の一部」ということを基本にしたものであるはずというあたりまえ過ぎるくらいあたりまえのことを考え、行動してきました。その方が皆が生きやすいと思ったからです。おかげさまで、「生命誌研究館」はそのように考え、行動する場になったと思うのですが、社会全体はなんだかどんどん生きにくくなっているような気がします。なんとかできないものだろうかと考えることが多くなりました。

これまでは、毎週東京―高槻間を往復していましたが、4月からは、東京を拠点にした活動になり、少し余裕ができますので、生きやすい社会に向けて何ができるかをゆっくりと考えてみたいと思います。自然・生命に向き合うことは21世紀を生きる者にとってとても大事です。新型コロナウィルスの広がりも、南極で20.8℃が記録されたことも、寛容さが失なわれていることも・・・人間が生きものであり、自然の一部であるという事実を眞剣に考えるところからしか解決は見えて来ない。私にとってこれは信念・・・などと固いことを言うのは止めて、ゆったりがいいですね。

〈ちょっと一言〉も続けますので是非御意見・御希望などお寄せ下さい。これまで以上に楽しみにしています。

中村桂子 (名誉館長)

名誉館長よりご挨拶