表現スタッフ日記
2026.04.01
偶然のちから
昔からなぜか「偶然」という現象に興味があり、芸術学部にいた学生時代に偶然を用いた作品を何点か制作しました。
一つは、「10万回読める本」です。これは、10万の平方根316.228を繰り上げた、317ページの本を2段に重ねたものです。上の317ページに短い言葉、下の317ページにも、上の言葉を受ける短い言葉が書かれています。上と下のページをそれぞれ開き、縦に組み合わせられた一文を読みます。
例えば上の本の言葉は、「一晩寝かせた」とか「予約の取れない」とか「タイムカプセルから出てきた」、下の本の言葉は「サンバのリズム」とか「炊きたてご飯」とか「定期券」といった、当時大学生であった自分がその時に思いついた適当なもので、特に法則はありません。この例えの場合、組み合わせは次のようになります。
一晩寝かせた サンバのリズム
一晩寝かせた 炊きたてご飯
一晩寝かせた 定期券
予約の取れない サンバのリズム
予約の取れない 炊きたてご飯
予約の取れない 定期券
タイムカプセルから出てきた サンバのリズム
タイムカプセルから出てきた 炊きたてご飯
タイムカプセルから出てきた 定期券
たった3×3でも9通りの文ができ、その組み合わせ次第では真っ当であったり、意外だったり、滑稽だったり、意味深だったり、およそ自分の脳では思い浮かばないことも、偶然の力が想像を超えた先に連れて行ってくれます(これの他に「誰が」×「どこで」×「何をした」の組み合わせで数人で遊ぶのも、とても楽しいので機会があればぜひ試していただきたいです)。
今年の季刊生命誌のテーマは「進化」です。
124号のPERSPECTIVEでは、偶然と必然が織りなす進化のしくみを取り上げました。
進化は自然選択について語られることが多いように思いますが、「偶然」の力も無視できない大きな力です。一番初めにDNAに起こる変化はランダムであり、自然選択においてもその時何が起こるかは予想のつかないもの。偶然に偶然を重ね、必然が整え、また偶然が起こる。地球が誕生した約46億年前と同じ条件でスタートしても、今日私たちが過ごしている同じ世界にはなりそうにありません。この一回性でかけがえのない地球の、生きものの不思議さを“いま”感じられる記事にできるよう、偶然も必然も力に変えて取り組みたいと思います。
一つは、「10万回読める本」です。これは、10万の平方根316.228を繰り上げた、317ページの本を2段に重ねたものです。上の317ページに短い言葉、下の317ページにも、上の言葉を受ける短い言葉が書かれています。上と下のページをそれぞれ開き、縦に組み合わせられた一文を読みます。
例えば上の本の言葉は、「一晩寝かせた」とか「予約の取れない」とか「タイムカプセルから出てきた」、下の本の言葉は「サンバのリズム」とか「炊きたてご飯」とか「定期券」といった、当時大学生であった自分がその時に思いついた適当なもので、特に法則はありません。この例えの場合、組み合わせは次のようになります。
一晩寝かせた サンバのリズム
一晩寝かせた 炊きたてご飯
一晩寝かせた 定期券
予約の取れない サンバのリズム
予約の取れない 炊きたてご飯
予約の取れない 定期券
タイムカプセルから出てきた サンバのリズム
タイムカプセルから出てきた 炊きたてご飯
タイムカプセルから出てきた 定期券
たった3×3でも9通りの文ができ、その組み合わせ次第では真っ当であったり、意外だったり、滑稽だったり、意味深だったり、およそ自分の脳では思い浮かばないことも、偶然の力が想像を超えた先に連れて行ってくれます(これの他に「誰が」×「どこで」×「何をした」の組み合わせで数人で遊ぶのも、とても楽しいので機会があればぜひ試していただきたいです)。
今年の季刊生命誌のテーマは「進化」です。
124号のPERSPECTIVEでは、偶然と必然が織りなす進化のしくみを取り上げました。
進化は自然選択について語られることが多いように思いますが、「偶然」の力も無視できない大きな力です。一番初めにDNAに起こる変化はランダムであり、自然選択においてもその時何が起こるかは予想のつかないもの。偶然に偶然を重ね、必然が整え、また偶然が起こる。地球が誕生した約46億年前と同じ条件でスタートしても、今日私たちが過ごしている同じ世界にはなりそうにありません。この一回性でかけがえのない地球の、生きものの不思議さを“いま”感じられる記事にできるよう、偶然も必然も力に変えて取り組みたいと思います。
奥井かおり (研究員)
表現を通して生きものを考えるセクター