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研究館より

ラボ日記

2020.09.01

環境の変化がもたらした気付き

 私の研究室では4月に新しいメンバーを2人も迎えたのに歓迎会が開けず、密の回避が優先され、組織内の人の交流も限定的な状態なのは残念である。しかし、コロナウイルスの影響がネガティブなことだけだとは思っていない。
 人が遠隔で交流するための技術は事前に開発されており、ウイルス感染拡大のこの環境においてその必要性をぐっと高め、瞬く間に繁栄した。生物の進化を思わせるこの事態を感慨深く思う。環境や状況が変われば簡単に集団の勢力図が変わるのかと。
 研究室閉鎖の休業期間中、研究室ではスカイプを使ってオンラインでミーティングを行っていた。事前にデータや資料をメールやクラウドで共有し、それを見ながら話をした。このときのデータや資料のデジタルでの事前共有は意外にも効率が良かった。利点を上げればいくつもある(印刷した紙を配って話をしたり、パワーポイントをスクリーンに映してプレゼンしたりしていたのを考えれば)。事前に概要を把握できるし、内容もファイルで残せて、資料にリンクも貼れる。印刷不要、発表時間も短くできるし、参加できない人にも情報を渡せる。コメントや関連情報も手軽に返信できる。などなど。なぜコロナ感染拡大の前はこの事前共有をやっていなかったのか。
 環境の変化が気付きをもたらし、人の活動が洗練される。先日ドイツの研究者仲間からオンラインシンポジウムのお誘いがあり、発表することにした。

動物多様化の背景にある細胞システムの進化に興味を持っています。1) 形態形成に重要な役割を果たす細胞間接着構造(アドヘレンスジャンクション)に関わる進化の研究と、2) クモ胚をモデルとした調節的発生メカニズムの研究を行っています。