ラボ日記
2025.06.03
昆虫の進化における最大の謎: 翅の起源
昆虫の翅って、どこから来たんでしょう?
化石も少ないこの謎に、最近面白い進展がありました。
トンボがスイスイ飛んでいたり、チョウがひらひら舞っていたり。昆虫たちが当たり前に空を飛んでいるのって、実はものすごいことだと思いませんか?
昆虫たちは地球で初めて空を飛んだ動物で、今でも空飛ぶ唯一の「背骨のない動物(無脊椎動物)」なんです。鳥の翼は前あしから変化しましたが、昆虫の翅は脚とは別に、飛ぶためだけに現れた特別な器官。
それでは、その翅、もともと何だったんでしょう? この進化のミステリー、一緒に考えてみませんか。
昆虫の翅の起源、これが一筋縄ではいかない謎なんです。
恐竜から鳥への進化を示す「始祖鳥」のような、翅ができかけの「中間化石」が、昆虫ではほとんど見つかっていません。「昆虫に始祖鳥はいない」と言われるほどで、これが長年、研究者たちを悩ませてきました。
それでも、少ない手がかりからいくつかの説が考えられています。例えば、水中にいた祖先のエラが変化したという「エラ起源説」や、背中の一部が伸びてできたという「背板側方伸長説」など。いろんなアイデアが出されてきたんですね。
飛ぶための専用器官として発達しましたが、昆虫の翅は飛ぶだけじゃないんです。実は、驚くほどいろんなことに使われています。
秋の夜に聞こえるコオロギの鳴き声、あれは前翅をこすり合わせて出す恋の歌。
カブトムシの硬い前翅(鞘翅)は、体を守る鎧の役目。
チョウやガの美しい模様は、敵を脅す警告色だったり、敵から隠れる擬態だったり、仲間を見つける目印にもなっています。
翅を使って、生き残るための様々な技を繰り出しているんですね。この多機能性も、昆虫が繁栄している大きな理由と考えられています。
化石が少ないなら、別の方法で!ということで、最近注目されているのが、今生きている昆虫の遺伝子や発生(体ができていくプロセス)を比べるという取り組みです。
京都大学の大出先生は、この手法で翅の謎に迫っています。翅を持たない原始的な昆虫と、翅を持つ昆虫とで、体のどの部分がどうやって翅になっていくのか、どんな遺伝子が関わっているのかを詳しく比較しているんです。そうすることで、大昔の昆虫の体の中で何が起きて翅が生まれたのか、その進化のシナリオが見えてくるかもしれない、というわけです。
遺伝子レベルの研究が、昔は見えなかった進化の道筋を照らし始めているんですね。 昆虫の翅から広がる進化の物語は、まだまだ奥が深そうです。科学の謎解きって、本当に終わりがない冒険ですね。
翅の進化の謎、もっと知りたくなりませんか?
京都大学の大出先生が直接お話しされるイベント「虫の会(拡張版) 昆虫の翅の起源を探す」があります。最前線の研究者から直接話を聞ける貴重な機会、進化の謎解きのワクワクを体験してみてはいかがでしょうか。
イベント情報はこちらから: https://www.brh.co.jp/event_lecture/detail/861
化石も少ないこの謎に、最近面白い進展がありました。
トンボがスイスイ飛んでいたり、チョウがひらひら舞っていたり。昆虫たちが当たり前に空を飛んでいるのって、実はものすごいことだと思いませんか?
昆虫たちは地球で初めて空を飛んだ動物で、今でも空飛ぶ唯一の「背骨のない動物(無脊椎動物)」なんです。鳥の翼は前あしから変化しましたが、昆虫の翅は脚とは別に、飛ぶためだけに現れた特別な器官。
それでは、その翅、もともと何だったんでしょう? この進化のミステリー、一緒に考えてみませんか。
昆虫に始祖鳥はいない - 翅の起源をめぐる長年の論争
昆虫の翅の起源、これが一筋縄ではいかない謎なんです。
恐竜から鳥への進化を示す「始祖鳥」のような、翅ができかけの「中間化石」が、昆虫ではほとんど見つかっていません。「昆虫に始祖鳥はいない」と言われるほどで、これが長年、研究者たちを悩ませてきました。
それでも、少ない手がかりからいくつかの説が考えられています。例えば、水中にいた祖先のエラが変化したという「エラ起源説」や、背中の一部が伸びてできたという「背板側方伸長説」など。いろんなアイデアが出されてきたんですね。
飛ぶだけじゃない!翅が遂げた驚きの進化と多様な役割
飛ぶための専用器官として発達しましたが、昆虫の翅は飛ぶだけじゃないんです。実は、驚くほどいろんなことに使われています。
秋の夜に聞こえるコオロギの鳴き声、あれは前翅をこすり合わせて出す恋の歌。
カブトムシの硬い前翅(鞘翅)は、体を守る鎧の役目。
チョウやガの美しい模様は、敵を脅す警告色だったり、敵から隠れる擬態だったり、仲間を見つける目印にもなっています。
翅を使って、生き残るための様々な技を繰り出しているんですね。この多機能性も、昆虫が繁栄している大きな理由と考えられています。
分子が照らす進化の道筋
化石が少ないなら、別の方法で!ということで、最近注目されているのが、今生きている昆虫の遺伝子や発生(体ができていくプロセス)を比べるという取り組みです。
京都大学の大出先生は、この手法で翅の謎に迫っています。翅を持たない原始的な昆虫と、翅を持つ昆虫とで、体のどの部分がどうやって翅になっていくのか、どんな遺伝子が関わっているのかを詳しく比較しているんです。そうすることで、大昔の昆虫の体の中で何が起きて翅が生まれたのか、その進化のシナリオが見えてくるかもしれない、というわけです。
遺伝子レベルの研究が、昔は見えなかった進化の道筋を照らし始めているんですね。 昆虫の翅から広がる進化の物語は、まだまだ奥が深そうです。科学の謎解きって、本当に終わりがない冒険ですね。
さらに深く知りたいあなたへ:「虫の会(拡張版) 昆虫の翅の起源を探す」に参加してみよう!
翅の進化の謎、もっと知りたくなりませんか?
京都大学の大出先生が直接お話しされるイベント「虫の会(拡張版) 昆虫の翅の起源を探す」があります。最前線の研究者から直接話を聞ける貴重な機会、進化の謎解きのワクワクを体験してみてはいかがでしょうか。
イベント情報はこちらから: https://www.brh.co.jp/event_lecture/detail/861
尾崎 克久 (室長)
所属: 昆虫食性進化研究室
アゲハチョウを研究材料として、様々な生き物がどのように関わり合いながら「生きている」のか、分子の言葉で理解しようとしています。