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研究館より

ラボ日記

2025.08.01

規則正しい生活の大切さ

研究館に来て早くも4か月が経ち、ようやく新しいラボでの研究が本格的に動き始め、充実した日々を送っています。研究に打ち込む日々のなかで、特に実験やデスクワークが多くなると、どうしても生活が不規則になりがちです。けれど最近、改めて「規則正しい生活の大切さ」を実感する出来事がありました。

私たちの研究では、ゼブラフィッシュという小さな魚を用いて発生過程を観察しています。実験には卵が必要なので、魚に卵を産ませて採取することが欠かせません。しかし研究館に来てからというもの、それまでよく卵を産んでいた魚たちが、急に産卵しなくなってしまい、思うように実験が進まない日々が続きました。

飼育環境を整えるべく、水温を変えたりや餌の量を調整したりして、様々な工夫を凝らしてみましたが、改善には至らず…。試行錯誤を重ねた結果、原因は「魚の生活リズムの乱れ」にあることがわかりました。

研究館の飼育室では最初照明の自動制御がなく、朝は最初に来た人が電気をつけ、夜は最後に帰る人が消すという運用をしていました。このため、魚たちが過ごす一日の明暗サイクルにばらつきが生じていたのです。昼夜逆転するほどではなかったものの、明暗のリズムが不規則だったことで、魚たちの体調に影響が出ていたようです。照明のオンオフを自動化し、規則正しい明暗サイクルを整えてあげたところ、少しずつ卵を産むようになり、ようやく研究が軌道に乗り始めました。

この経験を通じて、生物にとって一日の生活リズムがいかに重要かを痛感しました。そしてそれは、魚だけでなく私たち人間にも言えること。生活が乱れることで体調を崩し、結果的に大切な時間を損なうことにもなりかねません。

もちろん、規則正しい生活の重要性は多くの研究でも報告されていますが、実際に目の前で起きると、そのインパクトはひとしおです。

暑さ厳しい季節、寝苦しい夜が続きますが、どうぞ皆さまもできる限り規則正しい生活を心がけて、健やかにお過ごしください。
 

日野太夢 (奨励研究員)

所属: 形態発生研究室

多様な生き物の形を、どうやって作っているんだろう?という疑問を解き明かすべく、体の形の基本となる骨の形成制御機構を研究しています。