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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【オサムシ君めでたく帰還】

2000.5.15 

 先回、食べもののことで次回へ続くとしましたが、ちょっとしたニュースが生じましたので、今回はそれを。
 昨年8月15日のこの欄でオサムシ君が宇宙へ行くことになったと報告しました。シャトルの打ち上げの延期などもあり、長い間待たされましたがやっと先日、NASAから宇宙開発事業団へ、そして生命誌研究館へとリレーされて帰ってきました。毛利さんが手渡したいと思っていて下さったのですが、スケジュールがどうしても合わず、送っていただきました。ロケット打ち上げの瞬間の写真と、搭乗飛行士全員のサイン入りのカッコよい証明書がついています。
 歴史の中で翅を失ったために地面を這うことしかできないのでトコトコ歩いて地球のあちこちへと動いていったオサムシですが、それゆえに私たちに自然の歴史を教えてくれました。長い間他の虫を見てはボクも飛んでみたいなあと思っていたかもしれません。宇宙に行って、地球全体を眺め、ああボクの仲間たちが何千万年もかけて歩いた地球ってあんな姿をしているのかと思ったのではないでしょうか。ちょうどオサムシ研究の集大成としての「特別展示 −オサムシ研究からのメッセージ− 見えてきた進化の姿 」が始まったところです。素敵な箱を用意して証明書と一緒に展示します。会いに来てやってください。
 毛利さんからのお電話で、二度目の宇宙体験について興味深い貴重なお話を聞きました。毛利さん自身、これからじっくり考えてまとめてみたいとおっしゃっているので、その報告を伺ってから、ここでも紹介したいと思います。



 この欄へではありませんが、都市づくりの研究室の大学院生菊池さんから「ものづくり」が好きで大学院に進んだけれど、それに必要なのはつくる人の考えていること、感じていることと思うようになり、そこで「生きもの感覚」が大事だと感じているというメールをいただきました。また仲間がふえたようで嬉しいことです。

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