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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【研究は推理?】

益田真都香 初めまして、こんにちは。私は、4月から橋本ラボで、アフリカツメガエルを研究しています、修士1年生の益田真都香と申します。私は学部生時代からあまり変わらない分野、実験手法で研究を行っていまして、学部生時代のように操作にあまり苦労すること無く、この半年でいくつかのデータを得る事が出来ました。しかし最近、データや結果が出るようになって、今度はその解釈について悩む事が多いです。
 最近になってよく思うことは、研究は推理に似ているかもしれないということです。これは、ふと実験の結果から考察する時に推理小説が目に入って、なんとなくそう思ったからであって、特に根拠はありません。ただ、実験をして出した結果は、当然、世界では他に誰も出した事がない結果です。それが正しいかどうかは他の誰にも分かりません。特に自ら苦労して行った実験の結果には、愛着も湧きます。信じ込んでしまいがちになります。しかも、もし怪しいデータだと思っても、掛けた時間や労力を考えると、なかなか捨てきれないのが心情です。
 研究において、何が本当に重要か、何が失敗なのかを見極めるのは本当に難しいのです。大学時代の恩師が「研究は教科書と違って正解が初めから見えないから難しい」と言っていたことは、 まさにその通りだと、つくづく実感しています。
 そこで、実験して得られた結果から「推理する」必要があると思うのです。しかし証拠が集まらなければ、決定的に被疑者を追い詰める事や、周りを納得させる事が出来ません。私達は、知恵を絞り手を変え、品を変えて被疑者を尋問するように実験する必要があるのです。ちょっと端から見たら不気味かも知れませんが、たまに私はアフリカツメガエルや卵に、どうなのよと疑問を語りかけるときがあります。
 また推理小説には、読者にも推理させ、あっと驚くトリックで関心させる最大の楽しみがあります。私は、著名な推理小説のように、ドラマティックな推理は出来ないかもしれませんが、私なりの推理小説を書けるよう、日々アフリカツメガエル相手に「捜査」と「推理」を披露して、格闘しています。

[カエルとイモリのかたち作りを探るラボ 益田真都香]

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