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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【虫の会(まじめ版)を分子生物学会2013で開催】

2013年6月3日

尾崎克久

分子生物学会でかつて行われていた本家「虫の会」をご存知でしょうか。当館顧問の吉川寛先生が発起人で、普段はDNAやRNAを扱う仕事をしているけど、心の奥底では昆虫少年なのだという方々が集まって、思う存分昆虫談義をする、そして虫屋じゃない人たちは虫屋の生態を観察して楽しむ会だったそうです。当館前館長の岡田節人先生が、「分子生物学会には興味ないけど、虫の会だけは参加したい」と赤いフェラーリで駆けつけたという伝説もある会です。

時は流れて2013年、昆虫を材料とする研究を取り巻く環境は大きく変わりました。

当館でも illumina MiSeq という次世代型シーケンサーを導入して活用していますが、やはり高出力なシーケンサーが身近になったというのは、生物学全体に大きなインパクトを与えていると思います。EST解析を超高速化するだけに留まらず、ゲノムサイズが小さい昆虫なら、このベンチトップ型シーケンサーだけで全ゲノムを読んでしまうのも夢ではありません。

また、ゲノム編集技術も目を見張る勢いで発達していて、いわゆる“非モデル生物”を研究材料としている研究者にとって、ハンデとなる要素は限りなく小さくなりました。厳密には、累代飼育に弱くて系統として維持するのが難しいとか、モデル生物にはかなわない部分もまだ少しだけ残ってはいますが、それでも「モデル生物じゃないからできないよな~」と諦める必要はもうほとんどありません。

そんな最新の状況を多くの昆虫研究者と共有して、分子の情報を証拠として昆虫たちの興味深い生き様を解明する研究を促進しようと、分子生物学会2013年度の年会ワークショップに「虫の会」を提案したところ、なんと採択されていまいました。私は運がいい(?)。それとも分子生物学会の懐が深いということでしょうか。

いずれにしろ、興味のある学会員の皆さんは、「虫の会(まじめ版)輝け昆虫少年」にご参集くださいませ。 学会員じゃないけど、昆虫研究の近未来の様子に興味があるという昆虫学者の皆さん、ぜひこれを機に分子生物学会にご入会ください。(ちなみに、僕は弘前大学昆虫学研究室の出身なので、学生時代に教わっていた専門分野は昆虫の季節適応という生態学の一分野です。)

MBSJ2013ワークショップ
虫の会(まじめ版)輝け昆虫少年
セッション番号:『2PW12』
日時:2013年12月4日(水)13:15-15:45
会場:第12会場(国際展示場2号館2階:2B会議室)
Facebookページ:http://www.facebook.com/MushiSociety

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