1. トップ
  2. 語り合う
  3. 【バックナンバー 】

表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

バックナンバー

【バックナンバー 】

1998年11月15日

 この度もまた、私ごとで失礼いたします。前回の鳥居スタッフのガーデニング入門記に触発されたわけではありませんが、私も最近ベランダガーデニング入門を復活させました。実は、2年程前まで、少しずつプランターなどを購入しては、育てやすそうな草花や野菜などを植えていたのですが、いつの間にか、荒れたる庭に月影が差し...といった風流な趣を呈するようになってしまったわけです。これは、ひとえに怠慢ゆえのことですが、手を加えなくなったとたんに、かってにいろいろなものが、のびのびし始めたようなのです。
 1号線から100メートルと離れていない、はずれとはいえ繁華街の一角の5階なのに、種が飛んでくるのか、いろいろな雑草が繁茂し、コケが生え、植えた記憶もないクローバーとか元気に根づいているのです。ずっと使っていないプランターを堀り起こすとなんと、芋虫がぞろぞろ出てきました。ひょっとするとカブトムシ?睡蓮が毎年花を付ける水をはった浅いバケツには、雀がペアで水を飲みにきます。
 以前、穴を掘って合成ゴムシートを敷き、石や土で覆うだけ、あとは自然に任せた池を作るという人を取材したことがあります。ビオトープといって、簡単に水を含めた生態系作りを目指しているということでしたが、実際に見せてもらったその池は、地面がなだらかに水につながり、水辺の植物がさりげなくしっかりと生え、メダカが泳ぎ、トンボが飛んでいました。自然のままの、なにか懐かしい風景でした。自然の食物連鎖で、池の水はいつもきれいだということでした。
 家の睡蓮のバケツも都市にできたベランダビオトープだと悦に入っていたのですが、なんと......。最近とうとう、ホ、ほ乳類が現れたのです。隣から侵入してきた猫とガラス戸越しに目が合ったときには思わず悲鳴を上げてしまいました。バケツの水を飲み終わってすまして帰って行った猫くん。けっしてきらいなわけではないのだけれど、一応ここはロックの堅いマンションの5階なのですヨ。
[高木章子]

表現スタッフ日記最新号へ