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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【うつくしきもの「細胞くん」】

遠山真理
 先週末、急に鼻がむずむずしだし、目もかゆくて嫌な予感がしたのですが、やはり花粉症デビューをしてしまったようです・・・。今年の花粉の量は尋常ではないので新たに発症するのも不思議ではないとのことですが、私も普通の生きもの(ヒト?)だということを改めて実感しました。私たちの体は約60兆個の細胞が集まってできていますから、花粉症という症状も私たち自身の細胞のなせる業。少々強引ですが、前回の表現スタッフ日記(みっしり詰まった細胞)に引き続き、今回も細胞のお話です。
 ミクロのインタラクティブラボ「細胞くん」が1階ホールにお目見えしました。目に見えない小さな細胞の中にみっしり詰まった分子たちのお茶目な活躍をインタラクティブ映像でご覧いただけます。まだ分かっていないことの多い細胞内を表現するわけですから苦労も多かったのですが、実際に制作に関わった方の言葉が印象的でした。「細胞って想像以上に広かったです。」とのこと。広い広い細胞内で活躍する小さな小さなタンパク質分子の気持ちになってしまったようです。その人は大学で生物学を専攻していたのですが、ものづくりを通して今までの細胞のイメージが一新されたそうです。隙あらば、タンパク質などの分子に感情移入してしまう私にとっては仲間ができたようでとてもうれしい感想でした。
 昔、授業で習った清少納言の枕草子「うつくしきもの」の段に「なにもなにも、ちひさきものはみなうつくし」という一文がありました。何でも、小さいものはみなかわいいという意味だったと記憶しています。私にとっては細胞内で活躍する小さな分子たちがうつくしきものと思えてしまうのですが、目に見えない世界だけにちょっと理解しづらいところがあり、なかなか共感を得ることはありません。ですから、そんな世界をインタラクティブ映像で表現した「細胞くん」を通して、多くの方と生きているという状態を支える分子について熱く語り合ってみたいものだなと願っています。ご来館の際にはぜひ、「細胞くん」の感想をお聞かせ下さい。
細胞くんメインモニタ
コントローラーを使って細胞内を探検できます。
細胞くんタッチパネル


 [ 遠山真理 ]

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