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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【細胞のとびら】

後藤紘子
 例年ではそろそろ梅雨明けの頃ですが、BRH前の青々とした桜並木が、しっとりと柔らかくたたずむ日々が続いています。SICPに加わって、あっという間に3ヶ月が経ちました。ここでは、生命誌の考え方がかたちになる瞬間に立ち合うことができます。スタッフや展示業者さんと共に、ものづくりに取り組んでいますが、あるひらめきがコミュニケーションを通して試行錯誤をくり返しながらもどんどん育っていく過程は、苦心すればするほど驚きと喜びに満ちていきます。そして、手にとれるものとなった時の感動は、かけがえのないものになります。いろいろな人のトンチが凝縮されて、無駄な部分がそぎ落とされていく中に、たくさんの学びがあります。すでに数多くの失敗をして転んでいますが、少しずつ足もとを強くして転ばないようにしている毎日です。
 ところで、新規展示の細胞展がオープンして4ヶ月、皆さまご覧になって頂きましたでしょうか。以前の遠山さんの日記(2007年4月2日)でも紹介されていますが、細胞への愛情たっぷりの展示をさらに実感できるように、私も「細胞…細胞…」とつぶやきながらバージョンアップの企画をいくつか進めています。そのうちの1つ、細胞を街に見立てた物語の絵本「細胞のとびら」が完成しました。「生きている」いちばん小さな単位である細胞の中へ、細胞の街でせっせと仕事をしているタンパク質くんたちがいざないます。思わず時間を忘れて見入ってしまうほど、楽しく素敵な絵本です。さらに、ページをめくると絵本と連動して10万倍の細胞模型の中に細胞内の映像が浮かび上がるようになっています。是非、夏休みに足を運んで、「細胞のとびら」を開いて小さな細胞の世界のわくわくする出来事をのぞいてみて下さい。


 [ 後藤紘子 ]

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