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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【素材探しの散歩】

板橋涼子 先日、桂川へ散歩に行きました。ただの散歩ではなく、生きもの上陸展の素材集めです(ラストスパートをしなければいけない時期です)。展示の中で昆虫が河から上陸するシーンがあるのですが、イラストレーターさんにその情景を描いてもらうためには、自分が虫になった気持ちでイラストレーターさんに情景を伝える必要があります。それは図鑑だけではなく実物を見ないとダメだろうと思い、昆虫目線の写真を撮りに行こうと思ったのです。
 河原は枯れ草が絨毯のように重なっていました。いつもは踏みつけて歩く地面ですが、目線を下げてみると・・・

枯れ草と地面の間には隙間がたくさんありました。眺めていると、小さなクモや甲虫(?)が枯れ草の隙間でがさごそ動いていました。この隙間が彼らの住み処なのかしらとしばし観察。
 河原からすぐ近くの桂離宮ではたくさんのコケが広がっていました。上から目線だと、絨毯のようにしか見えませんが、昆虫の目線では・・・

こんな感じです。コケとコケの隙間ではアリが歩き回り、昆虫の死骸の一部?を運んでいました(小さいため、携帯写真では撮れませんでした)。アリにとってのコケは大きな木のようなもので、本当の木は山のような存在なのでしょうね。
 教科書に「昆虫は体が小さいゆえに生態系のニッチに上手く適応して大繁栄した」と書いてありますが、自分の眼で小さな昆虫の世界をのぞいてみて、その意味を実感できました。100万種という地球で最大のグループになったことも納得できます。今度イラストレーターさんに会った時は、虫になったつもりで話せるかなあと思いながら帰りました。残念だったことは、トビムシやイシノミなどの無翅昆虫に出会えなかったことです(アリやクモ、甲虫などはたくさんいましたが・・・。もっと観察力を磨かないと)。ラボの蘇さんに出現ポイントを聞いて、再度挑戦したいと思います。

 [ 板橋涼子 ]

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