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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【生命誌を表現するために】

2014年5月1日

藤井文彦

理由は定かではありませんが、小さい頃は習い事を何一つさせてもらえませんでした。その反動があってか、給料をもらえるようになってからは、周りの人にOLかと揶揄されるぐらい習い事を始めました。そして、それを終える一つの指標として決めていたのは、辞めた後も自学自習して一定の水準を維持できるレベルに達することです。

一方で、これまで食事を摂るように当たり前に続けてきた論文を読む能力が、ここのところ著しく衰えていることに気付きました。これまでの専門外ということもありますが、館内で行われているジャーナルクラブで紹介される論文を読むのが大変で大変で仕方がないのです。

苦肉の策で先日思いついたのが、家に帰って家内と「ジャーナルクラブin大山崎」を決行し、「家でも科学を鍛え、藤井家のアジェンダもついでに探そう」という目標です。家内のかつての専門は、真空紫外から可視領域までの光物性と太陽電池に使われるナノマテリアルで、僕のかつての専門は、可視から近赤外領域までの生体光計測と生体分子の標識に使われるナノマテリアルです。対象は違えど技術的な専門分野が近いので、これ幸いと家内に相談してみたところ、衰えを感じていたらしい彼女も随分と面白がってくれました。

さて問題は、2人でどういう分野の論文を読むかということです。建築を志望したある学生が、「建築をやっていくには、どういう本を読めばよいでしょう」と安藤忠雄さんに訊いたところ、「それを探すところから、建築を始めてください」と安藤さんは答えたそうです。そういう意気込みで、仕事に繋がる論文を探すことを皮切りに、我が家でも科学を鍛え直そうと目論んでいます。

[ 藤井文彦 ]

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