今号テーマ
館長からの手紙
今年も終りが近づいてきました。次々と災害が起きた一年の中で、やはり「生きている」ということを考えるしかないと思い続けていました。生きものは一見弱そうで芯は強いところがよいですね。絶滅したはずの恐竜が鳥につながる話、イモリの再生、四肢動物の形づくりのいずれもが、変わらぬ基本と柔軟性とを思わせます。清水孝雄先生も、頑固そうで柔らかくいらっしゃるところが魅力です。
今年のテーマ「容」は、紙工作で示したように変化の中にさまざまなものを容れこんで新しいものをつくり出す生きものの世界を示しています。人間もこうありたいと思いますが、恐竜学者の小林さんは「人間は本当に賢いのですかね」と問います。
25周年は特別の行事はせず、次の季刊「生命誌」100号でこれまで、101号でこれからを考えます。世の中も生きもの研究もこの25年で大きく変わりました。それを踏まえて何をするか。本当の賢さを求めて考えます。御意見をお聞かせください。お寒さの折お大切に。
2018年12月1日 中村桂子
TALK
自然の書をめくり恐竜の
「生きる」をたずねる
小林快次北海道大学 総合博物館准教授
中村桂子JT生命誌研究館館長
RESEARCH
発生と再生で
発生と再生で
容(かたち)が生まれる
四肢動物は、水と陸の両方で生活する両生類から翼をもつ鳥類、絶滅した巨大な首長竜まで、姿も暮らし方も多様です。2つの研究から生きものの形づくりの共通性と多様性を考えます。
CARD
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