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研究館より

表現スタッフ日記

2019.12.16

つくることの緊張感、難しさ、楽しさ

プロの作家が2〜3名でチームをつくり、リレー形式で即興の物語をつくる「ショートショート・バトル」という催しによく足を運んでいます。書き手どうしの打ち合わせはなし、順番はくじ引き、持ち時間は一人たったの30分(前の人が書いた物語を読む時間も含めて!)という、かなり厳しい条件です。文字通り先が読めない展開が紡ぎ出される瞬間に立ち会うことができるので、見ている側はワクワクですが、書き手の緊張がいかほどのものか想像すると冷や汗が出ます。書き手から書き手へバトンが渡るうちに、物語はミステリーになったりコメディになったりSFになったり、会場の誰かが登場したりと、いつも違う展開をみせます。全ての要素がつながって、あぁそういうことだったんだと腑に落ちる結末が示されたときは拍手喝采です。物語という舞台で自由な表現ができるプロの力を目の当たりにして、物語をつくることの緊張感、難しさ、楽しさを分けてもらっています。

物語ることは私たち生命誌の仕事にも通じることであり、物語のプロの技に少しでも学びたいと思うのですが、やはりすんなりとはいきません。季刊「生命誌」では、「これまで」を出しきった100号の後の101号を「これから」と位置づけましたが、これからを示す具体的な企画を決めるのはとにかく難航しました。焦ってとにかく形にしてみてもしっくりこない、言葉にも絵にもできない中で話し合いを重ね、結果的には全員で新しい企画を立て、表現することができました。101号は「これから」の空気をお届けできるのではないかと思っています。

恒例の紙工作は、宇宙・地球・生命・人間の情報を詰め込んだ点は前回と同じですが、また違った形になっています。書かれた一つ一つの数字や情報はともかく、「この世界は大きな舞台、真ん中にいるのはあなた」というメッセージを込めたのですが、うまく物語ることができているか・・・。おうちや学校、職場に飾っていただき、ぼんやり眺めたり、手に取って考えたり、誰かとの会話の種にしてもらえたらと思います。

101号「わたしの今いるところ、そしてこれから」のカードが、たくさんの「わたし」のお手元に届くまで、もうしばらくお待ちください。