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研究館より

表現スタッフ日記

2020.02.17

冬の食草園

生命誌研究館の4階には、蝶の幼虫が食べる植物を植えた食草園があります。建物の4階ですが毎年季節になるとチョウをはじめとする様々な昆虫が姿を見せ、四季折々に違った様子を見せてくれます。オープンラボや展示ガイドツアーでも人気の展示です。この食草園、普段は中に入ることができないのですが、日々の様子を楽しんでいただくことを目的として昨年の12月より「食草園の毎日」としてInstagramを始めました。みなさまもうご覧いただけましたでしょうか?食草園の様子をスタッフの声とともにお届けしています。

せっかく始めたのだからたくさん更新していこう!と気合いを入れていたのですが季節は冬。暖冬とはいえ、チョウも飛ばない、もちろん幼虫など見ることができない季節です。何にも起こらないかもしれない…大丈夫かな…と不安もありましたが、そんな心配は無用でした。正直初めは何か見つけなきゃ!という気持ちが大きかったのですが、冬の食草園は、じっくり見ているとなかなか面白いのです。冬に元気よく咲く花はもちろん、シーズンに向けて土から顔を出し始める小さな食草の芽、越冬中の蛹、葉脈だけを綺麗に残した落ち葉、顔のように見える葉痕、など…。これまで気がつかなかった生きものたちの物語を見つけることができました。夏の間、派手に動き回る生きものたちや、強い日差しの中物凄い速さで成長する植物に見惚れ、小さな変化を見過ごしていたのかもしれないと少し反省し、四季を通して生きものは魅力的であることを再認識しました。

とは言っても、やはり食草園に訪れる様々な生きものや、そこで成長する昆虫や植物の様子をお届けしたい気持ちは変わりません。春一番のチョウの訪れをお知らせできるのはいつになるのか…生きものたちで賑やかな食草園を思いながら、食草とともに春を待っています。
 

アオスジアゲハの蛹(越冬中)


春を待つツマグロヒョウモンの食草(パンジー・スミレ)