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研究館より

表現スタッフ日記

2020.08.15

「なぜ」が飛び出す表現を

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、毎月第3土曜日に行っている「生命誌の日」の催しもオンラインでの開催が続いています。研究員レクチャーやオープンラボをオンラインで行い、今月の催しで4回目となります。実際にみなさまとお会いできないのが少し残念ですが、遠方でなかなか研究館に来ることができない方に楽しんでいただくことができるオンラインの強みを生かした催しを企画しております。今月の催しは「研究者の目で生きものを見てみよう」ということで、当館で実際に活動している研究活動をご紹介する動画を見ていただき、みなさまそれぞれの中から湧き上がった疑問や感想などに館員がお答えするという形にしてみました。

6月に行ったオープンラボでの永田館長のメッセージ動画でも「生命誌研究館は問いを発掘する場所である」とあったように、研究館は“何か知識を得て賢くなってもらう”だけの場所ではありません。明らかになっていることを知り、「なぜ」と問う場所です。わからないことを語り合い、一緒に考えていく場所です。私がまだ展示ガイドスタッフ時代に書いた表現日記にもありますが、研究館は「なぜ」が「なるほど」に変わる瞬間にたくさん出会うことができ、私はその瞬間に魅力を感じ、今この仕事をしています。何かを表現するとき、つい、明らかになっていることだけで綺麗にまとめてしまいたい気持ちに駆られます。しかし、わかっていないことも盛り込んで生きもの研究を表現するのが生命誌研究館なのです。難しすぎると何がわからないかもわからない…。簡単すぎるとせっかくの研究が薄――くなってしまう…。「なぜ」が飛び出す表現を求めて、そのバランスの難しさと葛藤しながら日々仕事をしています。

今回の催しも、そんな研究館の思いを込めたものです。「良い質問をしなければ」「こんなこと聞いても大丈夫かな」なんてことは思わなくても大丈夫です。自分の中から湧き出た「なぜ」をお寄せください。「ここが面白かった」「こんなところに驚いた」などの感想でも構いません。今回の催しでは、質問や感想をお寄せいただいた方には紙工作のプレゼントもご用意しています。みなさまからのさまざまな声をお待ちしています。