1. トップ
  2. 語り合う
  3. 研究館より
  4. 身近な生きものこそが不思議

研究館より

表現スタッフ日記

2021.07.01

身近な生きものこそが不思議

7月3日から、企画展示「植物と昆虫のかけひきの妙」が始まります。大規模な企画展示をBRHで行うのは久々のことで、来館者のみなさんにどんな反応をいただけるかドキドキしています。その内容を一足先にご紹介します!

まず展示ホールに足を踏み入れると、奥の壁に、高槻の昆虫と植物が生き生きと活動する姿が映像で映し出されています。そのふもとには、さまざまな「植物と昆虫のかけひき」の事例を紹介するバナーが林立しています。「植物と昆虫」といえば、昆虫が花を訪れて蜜を得て、植物は花粉を運んでもらうという関係がまず浮かぶと思いますが、分子生物学を始めとする研究の進展が、花だけに留まらない植物と昆虫のさまざまな関係を明らかにしつつあります。例えば誰もが一度は目にしたことのある「虫こぶ」が、実は虫による植物遺伝子の操作によってつくられていること、チョウが見ている花の色の世界がヒトよりずっと豊かだということ、ヒトが寝静まる夜、蛾たちが超音波でコミュニケーションをしていること…近年の研究から見えてきた、生きものの具体的な工夫をご紹介します。これらは決して珍しい生きものの話ではなく、私たちのごく身近で起こっていることです。最後には屋上の「Ω食草園」で身近な自然を見て、一つひとつの生きものの物語を思い起こしていただければと思います。

今回しらべた昆虫と植物のさまざまな戦略の全てはとても展示には入りきりませんでしたが、生きものは多様で、しぶとくて、計り知れないということを改めて実感しました。たった一つの祖先細胞からここまで多様な生き方のバリエーションを生み出した生命って、一体何なのだろう?という疑問は大きくなるばかりです。BRHを訪れて、驚きながら問いを深めてください。会期は11月までです。夏も秋も、お待ちしています!