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研究館より

表現スタッフ日記

2021.12.14

食草園の冬支度

12月も半ばになり、季節はすっかり冬です。食草園でも冬の訪れが感じられます。エノキの葉が黄色くなって風に吹かれるたびにちらちらと落ちています。エノキを食草とするのはゴマダラチョウや国蝶であるオオムラサキです。今年はエノキにゴマダラチョウが何度か訪れたようで、幼虫や蛹も見ることができました。嬉しいことにこの冬は越冬するゴマダラチョウの幼虫が食草園にいます。蛹で越冬するナミアゲハやキアゲハに対し、ゴマダラチョウは幼虫で越冬します。少し産毛の多い越冬用の姿に代わり、越冬する場所を探して木の根元にある落ち葉の中で越冬するもの、木の幹で越冬するものスタイルはさまざまです。食草園を四六時中見ているわけにはいかないので食草園作業をするたびに場所を確認しています。今年の冬は3匹見つけていましたが、今のところ1匹は木の幹で、もう1匹は葉の上にいます。しかしもう1匹がどうしても見つからない…。葉についたまま下に落ちた?根元のあたりにいるのかな?食草園に出るたびに落ち葉をひっくり返して根元をかき分けて探していますが上手に隠れているようです。どこかにいるかもと思いながら慎重に食草園を歩き回っています。

食草もそれぞれ冬支度をしています。ウマノスズクサやハギはすっかり地上に出ている部分を枯らしていますし、キハダやネムノキは葉を落として枝だけになっています。これでまた芽が出るのだろうか、枯れてしまったんじゃないかと毎年不安になりますが春には新芽を出します。きっと今年もそうでしょう。しばらくひっそりとする食草園ですが、春になり動き出すその時を見逃さないよう、冬の間の生きものたちの様子をしっかりと観察・記録しつつ、楽しみに待ちたいと思います。