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研究館より

中村桂子のちょっと一言

2022.07.01

小さな夢

私が暮らしている世田谷区成城は、1917年に成城学園が創立されることで生まれた街ですので、近隣に比べると歴史が浅いのです。例えば、神社がありませんので、新年の初詣はお隣の喜多見にある氷川神社に行きます。伝統に支えられたお神楽を楽しみに、年明けの二日に出かけ、梅の枝に刺されたアボヘボを交換して新しい年も無事にと願います。アボヘボとは「粟穂稗穂」で、実際は境内のニワトコの木と粟の穂で作ったものです。もちろん豊作祈願。

話は時季外れのところに行ってしまいましたが、何もないところに学園を作ったので、周囲に先生方の家を建てて街もつくったわけです。どの家も生け垣にすることを決め、桜並木や銀杏並木の続く通りを作りましたので、緑豊かな街になりました。生け垣にしましょうという約束事は今も街に残っています。新しく越して来た方の中に、約束を無視する人が少しづつ出ているのがちょっと残念です。

コロナ騒ぎで遠出がなく、最近このあたりでうろうろしているようだと気づかれたのでしょうか。先日、中学・高校の校長先生と理科の先生方から小さなお手伝いを頼まれました。せっかく学園づくりから始まった街に暮らしているのですから、少し学校のお手伝いをして、その雰囲気が街につながっていくといいなと思います。すぐにできることではありませんけれど、そんな気持ちになって小さな小さなお手伝いから始めようと考えています。海外へ行くと学校が中心になった街があっていいなあと思ってきましたので。

学園はとても豊かな緑の中にありますので、構内を歩いていると小学生がホラ! とナナフシを見せてくれてびっくりしたりしています。久しぶりでナナフシに出会いました。BRHのナナフシ元気でしょうね。
 

中村桂子 (名誉館長)

名誉館長よりご挨拶