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研究館より

表現スタッフ日記

2022.07.01

「生きものの時間」に思う

今年の企画展のテーマは「生きものの時間」です。生命誌研究館で「生きものの時間」の表現といえば、やはり創館以来の「生命誌絵巻」ですね。ご来館の折には、まず「生命誌絵巻」からご鑑賞ください。「絵巻」って、ふつう時間軸を横方向に想定して、絵と言葉で時間の推移をスルスルと横スクロールして辿るイメージですよね。でも「生命誌絵巻」はそうではありません。扇の要(画面下)に描かれた「地球上で最初に生まれた(と考えられる)原始生命体」を起点に、縦方向に時間を想定して、生きものが多様化してゆく様を表す時間の表現です。時間の推移(進化)とともに自ずから多様な存在を生み出す「生きものの時間」は、一直線では表現できず、必然として扇型に開いてゆくという表現です。画面上部、扇の縁のところに現在の地球上にいる多様な生きものが並んでいます。私も、何度も何度も「生命誌絵巻」のお話をしながら、いつも「扇の形」に込められた「生きものの時間」の表現の奥深さを思います。
 

「生命誌絵巻」

展示ホールの企画展示「生きものの時間」は、第1期「生まれるまでの時間」が7/16(土)より開幕です。私たち多細胞体の生きものが、卵の中で、お母さんのお腹の中で、受精卵から分かれて増えて、細胞同士、個性を発揮しながらどんな風に調節し合って全体として生きる形・生きるしくみをオーガナイズしてゆくのかを探る今、ホットな研究に取材し、その物語を展示ホールに展開します。生きものの「生まれるまでの時間」をご来館の皆さんと一緒に考えたいと、スタッフの語りで案内するプログラムも準備中です。
>> 特別展示「生きものの時間」

今年の研究館の企画展のテーマは「生きものの時間」ですが、昨年の企画展は「食草園が誘(いざな)う昆虫と植物のかけひきの妙」でした。今夏、7/23(土)から東京の映画館「ポレポレ東中野」で上映が始まる記録映画「食草園が誘う昆虫と植物のかけひきの妙」では、その制作の経緯を通して生命誌研究館のいとなみを伝えます。映画はタイムカプセル、「魔法の壺」です。その中に生命誌研究館が入っています。スクリーンに投影することで、いろいろな場所で、ご来場の皆さまに生命誌研究館の今をご覧いただけます。東中野を皮切りに、秋まで各地の映画館のスクリーンに生命誌をお届けします。ぜひ、お近くの映画館でご鑑賞ください。
>>  公式ホームページはこちら >>  ポレポレ東中野上映情報はこちら