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研究館より

中村桂子のちょっと一言

2023.07.19

「KYOTO地球環境の殿堂」をご存知ですか

1993年に開催された「地球温暖化防止京都会議(COP3)で採択された京都議定書は温室効果ガス排出削減の数値目標を立てたことで記憶されています。その後「地球環境京都宣言」を出した京都府は、タイトルにある殿堂をつくり、地球環境の保全に貢献した人の顕彰をしてきました。今年、「生命誌」が評価されたのです。私は、環境保全のための活動をしてはいませんが、「人間は生きものであり、自然の一部」という視点は、地球を生きものが生き生き暮らす場にするために不可欠のものと信じてきましたので、それを評価していただけたのは嬉しいことです。研究館を始めたのが1993年、まさにCOP3の年であるのも縁というものでしょうか。生命誌絵巻を殿堂入りさせて活躍してもらおうと思っています。

ところで、ご一緒に殿堂入りすることになったのが、フランスのジル・クレマンさん。
最初は庭園設計者でしたが、今は「庭師」を称しています。地球全体を一つの庭と見るという考え方を庭園設計者がしたら大変ですが、庭師ならいいですよね。多様性を保ちながら動いている庭の中で、生きものたちを愛でながら、美しさと生きやすさを求めて歩き回っている姿は、地球の中の人間として好ましいものです。アンリ・マティス公園などと言われると是非行ってみたくなります。科学では庭園設計者、誌になると庭師ですね。

最近「生命誌絵巻」があちこちで活躍してくれます。社会が求めていることが少しづつ変わってきていると感じます。教育の現場、地方の町や村、子どもと暮らすお父さんやお母さんなど暮らしに近いところで特に。生命誌としてやることまだまだありそうです。
 

中村桂子 (名誉館長)

名誉館長よりご挨拶