中村桂子のちょっと一言
2025.07.01
新しいことが次々起きて面白いです
生命誌から出てくる答は、生きものとして生きる社会、つまり焦らず、急がず、着実に生きる社会だと思っているということは何度も書きました。
具体的には 生きものとしての 土木(暮らしの場)
農業(食べもの)
教育(心と体)
医療(体と心)
を考えています。農業と教育を一体化した「小学校農業科」は、喜多方と北海道で楽しく進んでいます。そこから大地再生農業へのつながりもよい形になっています。
最近始まって、とても面白く展開しているのが、「生きものとしての土木」です。中心は、「土中環境」という本を書いた高田宏臣さんです。全体を語るのは大変ですが、基本は土の中に水と風(空気)の道が保持されないと植物はしっかりした根を張れず、土砂崩れが起きるというところにあります。東京都内の「等々力渓谷」で倒木が続き、高田さんが直される現場を見せていただきましたが、科学的な理論と伝統技術が見事にかみ合うのが興味深かったです。
能登半島の復興、ダムの再生など大きなところでも活躍、志のある人のグループが少しずつ広がっているのですが。今回驚いたのは、長崎県が、トンネルを含む道路建設にあたって、計画前に高田さんに、「土中環境」まで考慮した建設のあり方を問うたのです。
素晴らしい報告書の内容を昨日伺いました。道路を作る時はこのように考えればよいのだと素人の私にも分かりました。トンネルが水など周囲に与える影響の大きさを知ると、リニアモーターカーなんてどうなっちゃうんだろうと思わずにはいられません。実際の施工に入って、国土交通省や県などがどう動くか、これまでの考え方や方法を変えるのは容易なことではないでしょう。でも、計画前に報告書を作るという話は聞いたことがありませんから、長崎県は本気なのだろうと思うのです。焦らず、急がず、着実にですが、「生きものとしての土木」が一歩足を勧めたことは確かです。
ニュースを見ていると、落ち込みますが、やはり人間は素晴らしいと思います。
具体的には 生きものとしての 土木(暮らしの場)
農業(食べもの)
教育(心と体)
医療(体と心)
を考えています。農業と教育を一体化した「小学校農業科」は、喜多方と北海道で楽しく進んでいます。そこから大地再生農業へのつながりもよい形になっています。
最近始まって、とても面白く展開しているのが、「生きものとしての土木」です。中心は、「土中環境」という本を書いた高田宏臣さんです。全体を語るのは大変ですが、基本は土の中に水と風(空気)の道が保持されないと植物はしっかりした根を張れず、土砂崩れが起きるというところにあります。東京都内の「等々力渓谷」で倒木が続き、高田さんが直される現場を見せていただきましたが、科学的な理論と伝統技術が見事にかみ合うのが興味深かったです。
能登半島の復興、ダムの再生など大きなところでも活躍、志のある人のグループが少しずつ広がっているのですが。今回驚いたのは、長崎県が、トンネルを含む道路建設にあたって、計画前に高田さんに、「土中環境」まで考慮した建設のあり方を問うたのです。
素晴らしい報告書の内容を昨日伺いました。道路を作る時はこのように考えればよいのだと素人の私にも分かりました。トンネルが水など周囲に与える影響の大きさを知ると、リニアモーターカーなんてどうなっちゃうんだろうと思わずにはいられません。実際の施工に入って、国土交通省や県などがどう動くか、これまでの考え方や方法を変えるのは容易なことではないでしょう。でも、計画前に報告書を作るという話は聞いたことがありませんから、長崎県は本気なのだろうと思うのです。焦らず、急がず、着実にですが、「生きものとしての土木」が一歩足を勧めたことは確かです。
ニュースを見ていると、落ち込みますが、やはり人間は素晴らしいと思います。
中村桂子 (名誉館長)
名誉館長よりご挨拶