表現スタッフ日記
2026.04.15
ヤエヤマトガリナナフシ その3〜産卵数と孵化率
私は2年前の4月から約一年数ヶ月にかけて、展示しているヤエヤマトガリナナフシを飼育してみました。敷地にあるシラカシ(Quercus myrsinifolia)の葉っぱを餌に使いましたが、食草園に生えているマルバハギ(Lespedeza cyrtobotrya)も偶にあげていました。ナナフシは顎(大顎)を使って葉の端から少しずつかじるように葉っぱを食べていきますが、頭を上下に動かしながら、葉の縁を円弧を描くように綺麗に食べていく様子に思わず見惚れてしまいます(図1)。
図1 ヤエヤマトガリナナフシがシラカシの葉っぱを食べている様子。
このように、飼育を通してナナフシの様々な行動を観察することができました。前回と前々回の日記ではナナフシの交配と産卵、卵の形態について書きましたが、今回はナナフシの産卵数と孵化率について報告したいと思います。複数の個体を飼育しましたが、標準的な1個体の産卵数とその孵化率を図2にまとめてみました。その個体は10月4日から11月14日までの1ヶ月10日間にわたって卵を産み続け、合計115個の卵を産んだ後、命を終えました。産卵期間の最初と最後の週に産んだ卵の数は、期間の真ん中より少ないことも分かりました。これら115個の卵は、11月27日から1月15日までおよそ1ヶ月半にわたって、99個の卵から幼虫が孵ってきました。孵化率に換算すると約86%とかなり高い孵化率でした。また、今回の記録データから、産まれた卵は孵化するまでおよそ1ヶ月半から2ヶ月の時間を要することが示されました(図2)。しかし、これらのデータは飼育環境下で得られたものであり、野外のナナフシはもっと厳しい環境の中で生きているため、こんなに次世代を残すことは難しいでしょう。次回は観察されたナナフシの脚の再生を報告したいと思います。
図2 ヤエヤマトガリナナフシの産卵数と卵の孵化率。日付については、上段は産卵期間、下段は孵化期間。


蘇 智慧 (研究員)
表現を通して生きものを考えるセクター