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研究館より

ラボ日記

2020.12.15

「Wetな生物」と「Dryな生物」を見比べる日々

私はコンピュータシミュレーションにより生命現象を解明しようとしています。コンピュータによる生物実験は、実際に生物を用いる実験をwetな実験と呼ぶことに対比して、dryな実験と呼ばれます。コンピュータシミュレーションにより再現された生物は、dryな生物と呼んでも良いかもしれません。現在は、所属するラボのwetなオオヒメグモの胚発生の研究結果と私がコンピュータ上で再現するdryなオオヒメグモの胚発生を見比べては、ここは似ているけどこっちは違うと日々格闘しています。このdryな生物実験による生命現象の解明への挑戦については、今週末12/19に開かれる予定の研究員レクチャーで詳しく話したいと思います。

Dryな生物実験の取り組み方は色々な方法があります。例えば、数学や物理学の現象から、それに似ている生命現象を探す取り組み方があります。一方、生命現象をよく観察してから、それに合いそうな数学や物理学の知識を当てはめる取り組み方もあります。私はどちらかと言うと後者の取り組み方で、面白そうな生命現象を見つけてから、それに合いそうな数学や物理学の知識を当てはめることを好みます。現在取り組んでいる「生物の形作りのルールを見出す」ことを考える上では、やはりwetな生物の観察から始めました。ただ、一方でwetな生物を参考にしすぎると、新規の形作りのルールを予測することが難しいこともあるかもしれません。新しい発想は少し離れた視点から見ることで思いつくことがあります。このwetな生物を参考にしつつdryな生物から生物の形作りのルールを見出せるようなwetとdryのバランスを取ることが、dryな生物実験の面白さの一つだと思います。

藤原 基洋 (奨励研究員)

所属: 細胞・発生・進化研究室

生物の形作りにおける物理背景、特に力学に興味があります。力学を基にした数理モデルを構築し、コンピュータ上でクモ胚の形態形成を再現することで、生物の形作りのルールを見つける研究を行っています。