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研究館より

ラボ日記

2022.06.15

虫の会(拡張版)第1回を開催しました

2022年6月4日(土)に、虫の会(拡張版)というイベントを開催ました。

ちょうど「むし(64)の日」が土曜日とあって、絶好の開催日かと思ったのですが、全国の昆虫関係の研究室では「むしの日」にちなんだイベントが行われているため参加できないという苦情を多数頂きました。すみません。

次回以降は「むしの日」のイベントとは重ならない時期を設定します。

虫の会とは


「虫の会」というのは、当館の初代顧問である大沢省三先生と、二代目顧問である吉川寛先生が始めた「勉強会」という名目の宴会でした。分子生物学会の名物行事として、「昆虫少年記」(柏原精一著・朝日新聞社)という書籍で詳しく紹介されています。

当館の初代館長・岡田節人先生も、虫の会に参加するためにマイカーを走らせて会場に向かったというエピソードも紹介されています。

そのようなわけで、JT生命誌研究館と「虫の会」は縁が深いのです。

虫の会(まじめ版)について


残念ながら、僕自身は本家「虫の会」には参加したとこがありません。僕がまだ学生だった頃にはもう、開催されなくなっていました。

そこで、分子生物学会のワークショップとして「虫の会」を復活させたいという相談を、吉川先生と岡田先生にしたところ、「虫の会を名乗るには内容が真面目すぎる。」というクレームがあったため、知恵を絞って「虫の会(まじめ版)」という名前にして許可を頂いたといういきさつがありました。

虫の会とは、「普段は核酸を扱う仕事をしているが、心の奥底では昆虫少年だという研究者が集まって、思う存分虫談義をする。虫屋じゃない人たちは、虫屋という生き物の生態を観察する。」というコンセプトとのことですので、ここは変えるわけにはいきません。

ご協力頂いた皆様の素晴らしいご講演のおかげもあり、虫の会(まじめ版)は、2022年で連続9回も採択して頂けたという、大変ありがたい状況になっています。
毎回とても盛り上がり、「面白かったからもっと詳しく聴きたい。」というご要望を沢山頂くようになりました。

虫の会(拡張版)


学会のワークショップでは時間が限られるので、詳しく「虫談義」を行う時間をとるのは難しいです。

そこで、JT生命誌研究館のイベントとして、「虫の会(拡張版)」を開催する運びとなりました。

これまでに、分子生物学会の「虫の会(まじめ版)」で講演をして頂いたことがある研究者限定で、JT生命誌研究館現地参加・Zoomでの参加を募集しました。JT生命誌研究館のイベントとしてはちょっと珍しい、完全に研究者に向けた企画です。

そして、講演と議論の様子は、デフォルメなしでそのままライブ配信を行い、「虫好きな生物学者という生き物たちの生態」を観察して頂けるようにしました。「現地参加したかったが、いつ募集していたのか?」という質問も何件か頂きましたが、このような事情です。

なぜこのような設定にしたのかというと、本家虫の会の「虫屋という生き物たちの生態を観察する」というコンセプトを活かしたかったのと、当館の表現セクターの職員から何度か「本物を見せることにこだわりたい」という意見を聞いたので、あえて研究者同士が議論している様子をそのまま見てもらうのも面白いのではないかと考えた次第です。

第1回を終えて


現地参加組とZoom参加組は、近頃減りつつあった「研究者同士で深く議論する」という時間を持てたことに満足して頂けたようですが、YouTube LIVE のライブ配信をご視聴頂いた皆さんはどのように思われたのか気になっております。よろしければ、この記事へのコメントなどでご意見をお寄せ頂けると嬉しいです。

本家「虫の会」を立ち上げられた大沢省三先生にもご参加頂けたら嬉しかったのですが、残念ながら今回の「虫の会(拡張版)」開催前の2022年5月27日にご逝去なさいました。ご冥福をお祈りいたします。

アゲハチョウを研究材料として、様々な生き物がどのように関わり合いながら「生きている」のか、分子の言葉で理解しようとしています。