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研究館より

ラボ日記

2023.09.15

日本の未来は明るいと感じさせられる「問い」の発掘名人たち

「昆虫博士」と呼ばれるとなんだか意味が違うよな〜と思っていたのですが、小学生の「昆虫はかせ」たちを見ていると、そんなことも言ってられないなと思ったりもします。

当館のイベント参加者にも、とても科学的な視点で鋭い質問を繰り出す小学生や、論理的な実験計画を自力で考案して“研究”に取り組んでいる小学生がいます。

昆虫たちが賑やかな季節になると、当館ウェブサイトの掲示板を通して、様々な世代の方々から様々なお問い合わせを頂くようになります。小学生からの質問の多くは、自宅の庭やベランダで観察した身近なチョウたちについての「不思議だな」とか「面白いな」とか「これはどういうことだろう」という素直な気付きが可愛らしいのですが、研究者顔負けの科学的な「問い」を投げかけてくる人たちが毎年現れます。

回答を作成する際は、
1. 論文として報告されている科学的に解明された事実
2. 愛好家による多くの観察例から事実だろうと信じられている現象
3. 個人の意見レベル
をハッキリと分けるように意識しています。アゲハチョウに関しては愛好家が多いこともあってか、圧倒的に2番が多いというのが私個人の意見です。

先日も、とても熱心に自宅に訪れたアゲハチョウを観察して、11問もの科学的な疑問を送ってくださった小学生「昆虫はかせ」がいました。「科学的に解明されている答え」を用意できたのはたったの3問。愛好家の観察例に基づいていくつかの可能性を考えながら返信を作成していると、科学者を相手に議論を深めているような感覚になり、とても楽しい時間になりました。

特に小学生宛の返信の中に、「それは未解明です。私も知りたいので、いつか君が研究して答えを見つけてくれる事に期待しています。」と書き添えることが増えています。
若いというよりは幼い「問いの発掘名人」たちに触れると、日本の科学の未来は明るいと感じます。

アゲハチョウを研究材料として、様々な生き物がどのように関わり合いながら「生きている」のか、分子の言葉で理解しようとしています。