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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【生きものとの出会い】

益田真都香 ゴールデンウィーク中の5月2日と3日、阪大のいちょう祭にて、BRHが出張展示を行なうということで私も手伝わせていただきました。各ラボ単位でポスターを貼り、その他は与えられたスペースで自由にやってよいとの企画に、あれこれと創作意欲を掻き立てられました。しかし私は去年参加しておらず、そもそもサークル等で学祭に出展した経験も無かったので、いったいどのような展示にしたら、観客の方に、学祭にふさわしい感動を与えられるかと悩んだ末に、私の知恵が足りない部分は、生きものの魅力を借りて補おうと思い、わが研究室のスターであるアフリカツメガエルに出張して頂く事にしました。
 当日、入り口の一番手前を陣取って水槽の中に居る大きなカエルはやはりインパクトがあるのでしょうか、なんだろうと飛びついてこられる方、若干退かれながらも覗かれる方等と、来訪者の方の反応は様々でした。その中でも、特に私の印象に残ったのは、中学生ぐらいの女の子でした。彼女は、何か感想を述べるという事も無く、じっと水槽を眺めていました。親御様曰く、彼女はアフリカツメガエルが好きで見に来られたそうです。展示終了間際にももう一度来てくださいました。
 何度も見たくなるということは、彼女にとっては、何度見ても飽きない面白さがその生きものにはあって、そのような生きものに出会えることはとても素晴らしい事だと思います。生物学をかじっている手前、研究は観察から始まるというのが私の持論です。生きものの面白さに気付き、なぜだろうと思うのは、やはり観察あってのものではないでしょうか。しかも観察対象が更にさらにと知りたい欲求を刺激するような魅力を備えているということも根本にあるのだとも思えます。
 よく、人と人との出会いは大切だと言いますが、そのような意味では人と生きものの出会いもまた大切だと思え、私はこの事に少しでも貢献できたのではないかとうれしく感じられた一日でした。

[カエルとイモリのかたち作りを探るラボ 益田真都香]

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