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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【飼育日記---ナナフシ・オサムシ・ミミズ……】

1999年5月15日

 4月、BRHで飼育展示しているアマミナナフシの成虫が相次いで死んでしまった。あわやナナフシ全滅かと思いきや、4/13、成虫達が残していた卵から幼虫が生まれていた。幼虫といっても、イモムシではない。小さいながらも姿格好は成虫と同じ。干からびた種(たね)のような卵から、きみどり色の糸のように細く長い脚を持ったナナフシが出てくる。
 その後、続々と幼虫が生まれだして、現在ではむしろ増え過ぎを心配するほど賑やかになっている。

 4/30。BRHのキムさんにオサムシ採集に連れていってもらう。あいにく前々日にしかけたトラップには一匹もかかっていなかった。夜の気温が下がった為に、オサムシが活動しなかったらしい。
 しかし、山を切り開いて作られた公園のコンクリートの溝で、マヤサンオサムシをゲット。今、私のデスクの上のケースの中でガサゴソしている。
 5/6。彼らは最低ここ1週間、水しか飲んでいない。これがまた、プラスチックの壁面についた水滴に口をつけ、丸い玉がみるみる吸い込まれていく様は、なんだかこちらの渇きも癒される思いがする。
 とはいえ、やはり新鮮なミミズが必要で、「ミミズ/サシ虫有ります」という釣具屋さんの看板を横目に通り過ぎ、帰宅途中、近くの大学校内にさりげなく侵入(一応母校です、悪しからず)。まだ学生もちらほらいる20時過ぎ、多少の勇気と諦めをもってミミズ採集。暗がりで落ち葉をかき分けると、ダンゴムシやワラジムシ、カタツムリ、アリ・・・など、見えるものだけでも沢山の生きものが住んでいる。すぐに目的量のミミズは捕まえたが、ゴミムシなど捕まえたりして(これをミミズと一緒な容器に入れていたら、帰宅してみるとオサムシ用のミミズをちゃっかり食べ始めていた)つい長居。
 次の日、それらをカバンに忍ばせ、何食わぬ顔で電車に乗り出勤。空腹のオサムシは突然目の前に現れたミミズに迷わず食いつき、あっという間に平らげた。

 オサムシやミミズ採集のついでに、ナナフシの食草も採集。エサとして使える植物を橿原昆虫館に教えていただき、今までカシの樹の種類の葉っぱを与えていたのだが、ノイバラも入れてみると好評だ。サクラはそれほど口に合わないらしい。
 BRHにきてから、標本派だった私が、こんな風に気がつけば飼育派と化している。コカマキリの卵を預かったり、ミノムシにミノを作らせようとしていて、そのまま蛹になり、チャミノガが羽化してきたり。。。
 ともあれ、小さなナナフシが今とてもかわいらしいです。(大きくなると、動きが唯一私の嫌いな蜘蛛を思わせるのでちょっと苦手)ぜひ見にきて下さい。 
[北地直子]

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