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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【季節の移ろい】

吉川徹朗
 今年の春から、館内ガイドを担当しています吉川徹朗です。どうぞよろしくお願いします。研究館に来るようになって日も浅く、まだまだ館内案内も勉強中です。春からの2ヶ月もあっという間のことに感じられます。
 それにしても、この季節の生物の世界の移ろいには驚くばかりです。その速さは頭では分かっているつもりですが、実際に身をおいてみると毎年置いていかれそうなほどです。
 春先のころに東海道線の車窓から山崎や水無瀬の山々を眺めていると、ヤマザクラの淡いピンクの花がぽつぽつと咲きはじめているのが見えました。やがてそれと交代するかのようにコナラの黄色い芽が伸びだして、常緑樹の深緑とコントラストを見せていましたが、いまではすでに一面の緑のなかに溶け込んでしまいました。研究館前の桜並木もすっかり葉桜になり、黒く熟れた実を覗かせています。
 研究館4階にある食草園の様子も少しずつ移ろっているように見えます。ウマノスズクサの奇妙な形の花も咲き始めました。花々を訪れる昆虫たちの顔ぶれも変わってきているようです。これからも季節ごとに刻々と違う姿を見せてくれるでしょう。前と違う季節に来館されれば、研究館のなかでもまわりでも、新しい発見があるかもしれません。ガイドのなかで、そんな小さな発見を一緒に見つけることができれば、と思っています。


食草園のウマノスズクサ
食草園のウマノスズクサ

 [ 吉川徹朗 ]

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