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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【展示作りは頭痛がします】

岡本和子 この春から展示案内をしています。8月に行われたサマースクールはもちろん初参加となり、SICPで行われた課題には受講者の視点とSICPの一員としての視点の両方を持ちながら参加することができました。普段展示案内をする場合には、展示のもとになったデータを蓄積した科学者の気持ち、展示そのものを作ったスタッフの気持ち、今目の前で私の説明を聞いている人の興味の3つが気にかかります。3つも気がかりがあるので、全てのことにきちんと向かえていないと漠然と不安に感じていました。サマースクールは展示を作る視点を理解するチャンスだと思い、自分ならいったいどうするかということを考えながら参加者の方と話していました。
 まず、一人では展示作りは出来ないということ。データを選別し、ある基準にそって並べて物語をつくり、それをさらに物作りのプロである業者さんに説明しなければなりません。しかもそれぞれの過程で必ずチーム内での話し合いが必要になります。データはそれぞれ面白いけれど、羅列してもダメ。選ぶ基準を考えるまでが大変。データそのものを読むことも大変。大変なことだらけで普段からこのステップを踏んでいるSICPスタッフの脳みそに感激しました。私は二日あったサマースクール中、頭痛がしていました。私は近くで見ていただけなのに。
 せっかく面白いデータだからもっと詳細も展示にいれたいという欲が裏目に出て、選別する基準を忘れ去ったり、展示の見た目が想像できなくなったり紆余曲折のなか、最後の発表会には参加者4名(2チーム)の発表が無事終わり、まるで自分が発表したかのようにほっとしました。
 私が自分ならどうするか、どう展示を作り出すかと考えていた間、生命が進んできた歴史は全てポジティブに捉えたいと考えていることに気がつきました。例えば退化という言葉が苦手。これは参加者の方と一緒に作業させていただいたおかげだと思います。展示作りの大変さの一片、ほんのわずかの一片ですが体験したことで、案内中の話し方や知識の理解に役立つかしらと考えています。

 [ 岡本和子 ]

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