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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【編むを編む】

村田英克 あけましておめでとうございます。今日は仕事始めです。生きていることを探り考える今年度の言葉、「編む」を切り口にした季刊生命誌もいよいよ大詰め。生命現象は、発生の時間で卵の中を見ても、もっと長い時間で分子のしくみの変化を見ても、もちろん生きもの同士の関わり合いも、編み、解し、ときにこんがらかったりしても、また解して編んでという様子はとても面白く、この観点から取材し、語るべき研究はまだまだたくさん有るはずだと名残り惜しくもありますが、残すところあと一回です。編むは、表現のうえで、編集するということを改めて考えるテーマでもありました。ちょうど新年を迎えたところでこの一年の編集を全部、解して、もう一回、編み上げる生命誌年刊号の編集をはじめます。インターネット上の情報のまとまりを意識したWEBジャーナルや、直感的な表現で勝負するカードと違い、本は、正面から、物語りとしての研究の面白さが問われます。昨年の『めぐる』では、研究と研究(あるいは研究者と研究者)の重なりを意図したCROSSという企画があり、これが読み物として年刊号を編集するうえで一役買っていました。とくに研究を通しての物語り(RESEARCH)では、研究の面白さと内容の専門性とを切り離すことはできず、いかに表現に幅を持たせ、より楽しんで読むことのできるものにするか、今年はもう一工夫、加えたいと感じています。研究者の顔が見える本にしたいと思っています。
 さて、「編む」に続く、次の切り口となる言葉は何でしょう。生きていること(生命現象)を知り、そこからさらに考えて、私たち自身の展開に結びつけることのできる動詞です。また、生きていることは、良いことづくしではありません。全部含めて、生きているということを考えよう(科学として)。その切り口となる言葉を、お正月を挟んでずっと考え続けています。皆さんも考えてください。

 [ 村田英克 ]

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