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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【浮世絵から学ぶ表現】

有馬えり奈 先日、浮世絵の美術館に行きました。美術館には、芸術の知識の乏しい私でも知っている浮世絵師の葛飾北斎や菱川師宣、写楽などの復刻画がずらりと並んでいました。絵の良し悪しなんてほとんどわかりませんが、どの絵からも昔の人々の暮らし方が伝わってきて、私のご先祖もこんな風に暮らしていたのかなと思いをめぐらせて楽しみました。その美術館で売られていた本の中に、歌川国芳のだまし絵や寄せ絵、影絵などが紹介されていました。見てみると、おどろおどろしいドクロの絵が実はネコの集まりである絵や、人が人を形づくっている絵など、遊びが凝縮されている絵がたくさん。面白くて見入ってしまいました。歌川国芳の時代は、幕末という混乱の中にあったにも関わらず、人々を楽しませることに喜びを感じていたからこのように人々を魅了する作品が描けたのではないかと思います。いつの時代も人は面白いことが大好きだな、と改めて感じました。今回、歌川国芳のあそび絵との出会いで、今まで自分と無縁だった浮世絵に、歴史と工夫を感じ、もっとより深く浮世絵について知りたいと思いました。過去から現在に至る表現の工夫を知り、このBRHで新しい表現を生み出せたらと思います。
 少し話は変わりますが、次号の72号の季刊生命誌で初めてリサーチの担当をしました。リサーチの取材は、論文などを読み下調べしてから、著者の先生にお会いします。面白い研究だなと思いながら、直接会って先生の研究を聞くと、論文の中には出てこない、より面白く興味深い話がてんこもりです。取材後はこの面白さを如何にして伝えようか、SICP全員で奮闘の日々でした。今号も、歌川国芳のように、人々を魅了する季刊生命誌に仕上がったのではないかと思います。
 みなさんに届くまでもう少し時間がかかりますが、年間テーマ「遊ぶ」の締めくくりとなる72号季刊生命誌を楽しみにお待ち下さい。

[有馬えり奈]

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