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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【アボカド君とシジミ】

2016年7月15日

平川 美夏

研究館の入口、自動ドアを入るとつい真っ先に目が行ってしまうのは2つの水槽。左の水槽に住んでいるのが、オーストラリア肺魚のアボカド君、右が南米肺魚の二代目エンピツ君です。来館者の方からよく受ける質問は、「何を食べているのですか」ですが、基本はK社の大型肉食魚用のペレットです。育ち盛りで泳ぎ回っているエンピツ君は、ペレットをいれると食べきるまでもう夢中です。一方、アボカド君、何年か前にペレットに飽きたのか寄って来なくなったので、つい貝やらエビをあげてしまい、舌が肥えてますます人工のエサを食べなくなってしまいました。ただ、時々無性にカップラーメンが食べたくなるのと同じ心理か、生き餌が続くとたまにはペレットも美味しそうに食べてくれます。

アボカド君の一番のお気に入りはラムズホーンという巻貝です。入れてあげると早速探索を開始し、殻が薄いのでパッと吸い込むとあっという間に貝ごと食べてしまいます。そこでエサ用にと育てていたのですが、食欲に追いつかず、購入しようと探してみると、ペットショップで売っていて一食分の10匹で5百円くらいから。あらら、ランチ並みの値段です。アクアリウムの担当の方に相談すると、他の淡水の貝を試してみてはとのこと。淡水の貝で、手に入りやすいものと言ったら「シジミ」くらいしか思いつきません。そこでスーパーでシジミを買ってきて、水槽に投入してみました。

やはり、というか初めての2枚貝に見向きもしません。水槽を時々覗き込んで、「食べてごら〜ん」とささやきましたがその日は食べてもらえず、そのまま館を後にしました。翌朝見ると口の空いた空の貝が。だんだん出汁が出てきたのかどうか、食べてくれたようです。しめしめとまた投入しましたが、ラムズのようにすぐに探しに来てはくれません。それでも何回か試すうち、食べにくるようになりました。殻が硬いので、何度も食べてはもぐもぐ噛んで吐き出して、を繰り返しているうちに殻が開いて食べられるようです。苦労のわりにはあまり美味しくないのか、なんとなく冷めた態度ですが、今ではすっかり上手になり、数回噛んでパカッと開いたところで中身を食べます。

オーストラリア肺魚の特徴でもあるたくましいヒレで、砂利を掃き寄せてしまうので先日少し大粒の砂利に交換し、色合いもシックになりました。夏休みにはどうぞ、肺魚たちに会いにきてください。

[ 平川 美夏 ]

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