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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【アルテリ】

2016年8月1日

有馬 えり奈

私は生まれも育ちも熊本です。今年の2月、熊本初の文芸誌『アルテリ』(年2回発行)が創刊されることを知り、すぐに買い求めました。「アルテリ」とは、伝統的な職人の自主共同組織。「熊本から雑誌を出そう。」という渡辺京二さんの呼びかけで、何にも縛られない、自由な書き手のささやかな発信の場をつくりたいと有志が集まっての試みとのこと。読んでみるとまさにその通り、詩人、作家、疫学者、個人店主、パート、小説家というさまざまな肩書きをもつ方たちによって、文章が紡がれており、エッセーから古典文学まで盛りだくさんの内容です。どれも素晴らしいのですが、パートタイマーの大津さんが書かれた「歳月」が、いまの私のお気に入りです。交流を絶っていた父が、孫の声に引き寄せられて、閉じこもっていた部屋から出てにかっと笑うという物語り。私も日常、子どもと一緒にいると、電車でも病院でもたくさんの会話が生まれることに驚き、子どもの持つパワーってすごいなと思っていたところに読んだので、とても共感しました。『アルテリ』を読んで、熊本の文学をはじめ熊本についてもっともっと知りたいと思いました。いま私は生命誌ジャーナルを担当しています。読者の方に、生きものについて考えるって楽しい、もっともっと知りたい!という気持ちになってもらえたら嬉しいです。9月1日の発行までお楽しみに!

[ 有馬 えり奈 ]

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