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2019.11.04

プラナリアはどこにせいそくしていますか。

よっぺ

「プラナリアはどこにせいそくしていますか。プラナリアがほしいです。」
※福岡市科学館「サイエンスどんたく」(2019年11月2〜4日)で設置した「研究者に届く!BRHポスト」に投函いただいたご質問です。

2019.11.22

1. 佐藤勇輝(カエルとイモリのかたち作りを探るラボ)

プラナリアに関する質問、ありがとうございます。興味を持ってもらえて嬉しいです。

プラナリアは流れの穏やかなきれいな川の石の裏などでよく見られます。関西では京都の鴨川でよく見かけられますし、探せば身近な川にも生息しています。石の裏に張りついていて、顕微鏡を使わないと特徴的な眼が見えないので、一見するとヒルと間違われることも多いです。水を入れた容器の中で観察するとヒルは尺取虫のように体をくねらせて動きますが、プラナリアは体表の繊毛を使って容器の底を滑るように動くので分かりやすくなると思います。

カエルといってもニホンアマガエルやトノサマガエルといった種類が存在するように、実はプラナリアにも複数種が存在します。一般的なナミウズムシと呼ばれる種は日本各地に生息していますが、沖縄に生息するリュウキュウナミウズムシや東北地方に生息するトウホクコガタウズムシといった地域性の種も存在します。また残念なことにアメリカナミウズムシやアメリカツノウズムシといった外来種も日本国内で見つかっており、問題になることがあります。ぜひ身近な川や旅行先の川で石をひっくり返して、色々な種類のプラナリアを探してみて下さい!

2021.07.14

2. Nさん

実家で昨年から見たことがない生物を見ます。調べてみたらプラナリアのようですが、茶色と黄色が混ざった色で60㎝位の長さで蛇のようにクネクネと動き、移動した後にネバネバとした液が残ります。
母がテレビで全く同じ生物を紹介してるのを観たとも話していました。
最近もよく見かけるようです。
これは珍しいんでしょうか?

2021.07.14

3. 佐藤勇輝(形態形成研究室)

コメントありがとうございます。
お伝えいただいた特徴からすると、「オオミスジコウガイビル」と呼ばれる生物ではないかと思います。
いわゆるヒルは環形動物と呼ばれる分類群に分けられますが、コウガイビルは扁形動物に分類され実はヒルよりもプラナリアに近い生物です。この点に関して、Nさんご自身でも調べられてご存じだったようなので素晴らしいです。
ちなみに、扁形動物門には寄生性のサナダムシや住血吸虫も含まれますが、一般的にプラナリアと呼ばれる渦虫綱の生物は他の生物に寄生せず自立して生活します。

コウガイビルが珍しい生物かと問われると、実はそんなに珍しい生物ではありません。
私自身、東京の学習院大学のキャンパス内(池袋の隣駅付近)で見つけたことがあり、こんな都心にもコウガイビルが懸命に生きているんだなと物思いに耽りながら捕まえたことがあります。もしかしたらご実家だけでなく、Nさんの身近にも生息しているかもしれません。

残念ながらオオミスジコウガイビルは外来種であり、もともとは日本にいない生物です。
オオミスジコウガイビルとは違う種ですが、近年では外来種のコウガイビルが小笠原諸島にも生息域を広げ、在来種のカタツムリを捕食して生態系に影響を与えてしまっているようです。
人間の活動によって外来種を広げてしまわないよう注意が必要なのかもしれません。

2021.08.10

4. N.R

自分は今、学校の宿題でプラナリアについて調べていたのでとても助かったです。有難う御座いました。

2021.09.07

5. ムネーニョ虫博士

粘菌が森の中に入って落ち葉や朽木の裏を見ても見つからない‼

2021.09.07

6. 星野敬子(表現を通して生きものを考えるセクター)

森の中で粘菌が見つからないとのことで、季刊「生命誌」記事の中から粘菌に関する記事を探してみました。

●「粘菌のふるまいに見る自己組織化の始まり」澤井 哲 東京大学(2010年65号記事より)
https://www.brh.co.jp/publication/journal/065/research_1.html

●「細胞性粘菌のゲノムでみる多細胞化の舞台裏」漆原秀子 筑波大学大学院生命環境科学研究科(2007年52号記事より)
https://www.brh.co.jp/publication/journal/052/research_11_2.html

●「粘菌に知性はあるか?」上田哲男 北海道大学電子科学研究所(2002年34号記事より) 
https://www.brh.co.jp/publication/journal/034/resarch_11.html

この他にも、ホームページのサイト内検索より”粘菌”で検索いただくと、多数の記事をご覧いただけます。よろしければご覧ください。

2022.04.23

7. K.Tさま

プラナリアで検索して、「駆除方法」などとつないだ文があり驚きました。なぜプラナリアのように汚染のないような場所でしか生息できない動物を「駆除する」必要があるのか、納得できません。駆除を考えた人の生物的感覚を疑います。単に「いなくていい生物」というだけでの発想なのでしょうか?

2022.04.23

8. 平川美夏(表現を通して生きものを考えるセクター)

プラナリアですが、研究館の近くですと芥川などの市街地に隣接する河川や用水路などでも見つかります。そこで身近な淡水の生きもの、小魚や貝やエビなどを観察のために採集すると、プラナリアが混ざっていることがあります。プラナリアは肉食動物なので、集団でこれらの生きものを襲い、自切による無性生殖であっという間に増えて、小さな実験場がプラナリア天下になりますので、困りものと思われる場面もありそうです。
生きものは環境に反応して、食べ物を選んだり、数をふやしたり、さまざまな生きるすべをつかいます。人間が人間の都合でつくりだす環境は、しばしば彼らの生きかたを変え、それが、人間に都合が悪いほうに働くことは少なくありません。「いなくていい生きものなどいない」と思う時、生きものとしての私たちのあり方も問われていると感じます。

2022.05.06

9. プラナリア君

プラナリアは何類に分類されているのですか?プラナリアに興味を持ったので知りたいです!

2022.05.06

10. 佐藤勇輝(カエルとイモリのかたち作りを探るラボ)

プラナリアに興味を持ち、質問して下さってありがとうございます!

プラナリアは扁形動物門・渦虫綱に属する生物の総称となります。
扁形動物門の仲間というとサナダムシや住血吸虫といった寄生性の生物がいますが、プラナリアは他の生物に寄生するようなことはなく自由生活を送っています。

「何類か?」と問われると、魚類や哺乳類といったものは脊椎動物に使われる言葉なので、無脊椎動物のプラナリアには残念ながら適用できません。。。
実を言うと、魚類や哺乳類といった「類」という言葉も分類学上では正式なものではありません。
例えば、ニホンアマガエルは正式な分類としては脊索動物門・脊椎動物亜門・両生綱・無尾目・アマガエル科・アマガエル属になるので、「綱」の部分が脊椎動物では「類」として一般的に使われているようです。

2022.09.27

11. ブンブン

プラナリアは海にもいますか?

2022.09.27

12. 佐藤勇輝(形態形成研究室)

ブンブンさん、ご質問ありがとうございます!
世界的には扁形動物門渦虫綱に属する生物をまとめてプラナリアと呼んでいるのですが、扁形動物門渦虫綱の生物は川だけでなく、海に棲むものや、陸に棲むものもいます!

ただ、非常にあいまいなのですが、日本では河川に棲むものをプラナリアと呼び、海に棲むものをヒラムシ、陸に棲むものをコウガイビルと呼ぶことが多いようです。
世界的にはプラナリアとまとめて呼ばれるものが、日本だとプラナリア・ヒラムシ・コウガイビルと呼び分けられているのは少し興味深いですね。

もし興味があればヒラムシやコウガイビルで調べていただければ、プラナリアの仲間として紹介されているものを見つけることができるはずです。

2022.11.15

13. あ

 川から海までの塩分濃度を参照にプラナリア(川に生息している個体)が何%の食塩水にまで耐えられるか試しているんですが目安などはあるのでしょうか
 また本来川に生息しているプラナリアは海でも生息できるものなのでしょうか
 

2022.11.15

14. 佐藤勇輝(形態形成研究室)

ご質問ありがとうございます!
何%の食塩水まで耐えられるか検討しているということですが、
私の知る限りでは、何%の食塩水までプラナリアが耐えられるかについての詳しい記載はありません。
ただ、1959年に発表された動物学雑誌の「渦虫(Dugesia gonocephala)の人工培養液」という論文で、プラナリアの生息していた水の陽イオン組成を調べ、その平均を計算してプラナリア飼育に適したイオン組成を提示しています。
発表者の名前にちなんでKanatani waterと呼ばれているこの飼育水の組成は、0.77 mM CaCl2, 0.066 mM KCl, 0.64 mM NaCl, 0.17 mM NaHCO3, pH 7.6となっています。(mMとは「ミリモラー」と読み、milli mol/Lの略です。 イオンやmol、化学式など分からなければ、ぜひ理科や化学の先生に尋ねて勉強してみて下さい)
こちらの論文は、国立国会図書館デジタルコレクションというwebサイトで論文名を検索することでダウンロードし日本語で読むことができますので、良ければチェックしてみて下さい。

私からのアドバイスとしては、まずはKanatani waterを基準として、何倍濃くまたは何倍薄くして飼育した時に生きていられるかを観察してみると良いのではないでしょうか?
ただKanatani waterを作る際に、イオンを含まない純水を用意できず、水道水で作ってしまうと元々の水道水に含まれるイオンが実験結果に影響してしまう可能性が考えられます。

水道水しか準備できない場合には、全く食塩を加えない水道水を基準とし、複数の濃度の食塩水を準備して飼育することになるかと思われます。淡水棲のプラナリアは海水では生きていけないので、おそらく高濃度の食塩水ではどこかでプラナリアが死亡してしまうと思います。このため、きちんと対照実験を心がけ、食塩を加えない水道水でもプラナリアを飼育し、水道水だけの飼育ではプラナリアが死なないことをきちんと確認しながら進めることをオススメします。

この場ではこれ以上詳しく議論できませんが、実験・研究がうまくいくよう応援しています。
また、このような実験をしていると、どうしてもプラナリアが死んでしまうことがあります。
実験とは言え生物の命を扱う訳ですから、むやみに実験を繰り返すのではなく、ぜひ一度の実験で出来る限り多くのことを学べるよう心掛けて下さい。

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