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研究
2020.11.16
揚羽蝶の飼育と研究について
アゲハF
・冷蔵羽化チャレンジは2年目です。今年は河口湖町ではなく甲府市で羽化するか？実験した所、暖かいせいか6匹とも羽化。しかし半分は翅が拡がらすハンディを持ってしまった。乾燥しないようにケアしてましたが、成功するためにはどのようにしたら良かったでしょうか？
・ナミアゲハの幼虫は檸檬、蜜柑、からたちによるのか？黒いVの部分がはっきりしていたりほとんど緑色、檸檬育ちは黄緑でした。でも同じ兄弟でからたち育ちなのに体の色は黒Vありなしとあるのはなぜでしょうか？
・前蛹前に頭を下に向ける幼虫が何匹かいる。位置を確かめているかと思われるが、飼育箱に入れているからなのでは？
・研究7年目、羽化した揚羽蝶は我が家に戻って来ている気がする。二年前一匹だけハンディがある揚羽蝶だったので写真に撮り確認出来た。今年は図書館の司書の方のアドバイスから羽化後翅を一部分少しハサミを入れて目印をつけています。セミのようにマジックで書けないので大変です。
・幼虫は兄弟仲良しかと思ったが、大きめの飼育箱に食草をたっぷり入れてキアゲハ5齢3匹3齢2匹入れてみた。いつも隔離一匹ずつ飼育箱だったがチャレンジした。なんと気の荒い5齢幼虫は3齢幼虫を引っ掻いて殺してしまい、やはり5齢幼虫は別に入れてあげるべきでした。しかしこの5齢幼虫は食べ終わったパセリ茎にブルンブルンと身体を振るわせ遊んだりネットや敷居の段ボールなど隅々まで探検する事が分かりました。
・甲府では、天敵は蜂ではなく鳥が狙っているので鳥避けを設置しました。調べていくうちに蜜柑にはアルカロイドが含まれていて食草とするナミアゲハは自分を守っている事を知った。蝶図鑑は難しくて分からない。ナミアゲハとアルカロイドについて学びたいです。ベランダ下の恵まれた雑草葡萄畑、桃畑は除草剤が撒かれ揚羽蝶が住みにくい環境になっていることが悲しい。食草も甲府市周辺観察したが蜜柑はあるが、キハダは見たこともない。バタフライガーデン作りをして揚羽蝶の為にお世話している人はとても少ないことが悲しいです。家族で揚羽蝶を環境破壊から救っていきたいです。
2020.11.16
1. 尾崎克久（昆虫食性進化研究室）
アゲハチョウの仲間の幼虫は集団生活を行わず、個別に発育する昆虫なので、飼育容器等で高密度になると他の個体を攻撃する傾向が強く見られますが、種や地域で「性格」にはやや特徴があるように感じられます。例えば、本州のキアゲハは攻撃性が強いのですが、北海道や北東北といった北国のキアゲハはおとなしくて、多少高密度で飼育しても他の個体を攻撃することは少ないと感じました。ただし、これは飼育してみての個人的な感想で、生物学的な観察と言えるほど定量的に比較した内容ではありません。
アゲハチョウの翅にも、油性ペン等で目印をつけることは可能です。当研究室では、行動実験用の個体を見分けるために、マッキーやポスカを使って翅に印をつけています。また、アサギマダラの渡りの調査では、採集した方が油性ペンで翅に場所や日付を書き込んで放しています。
2020.11.16
2. 星野敬子（表現を通して生きものを考えるセクター）
ご質問に対するお答えではありませんが、「昆虫食性進化研究室」では、日本にいるチョウとその食草について、食性の関係を検索できるデータベース（日本語）を公開しました。学術用語を使わず、動的に変わるネットワーク図として検索できるので、誰でも感覚的に操作できます。このデータベースのワークブックも公開しており、畑にモンシロチョウがよく来るけれど、幼虫は何を食べるの？ 庭のミカンの木はチョウの食草なのかな？ という問いから、食草じゃない葉にナミアゲハの幼虫がいたのはなぜ？ チョウと食草は共進化しているの？ という専門的な問いまで、それぞれの疑問や関心に応じて使うことができます。
https://www.brh.co.jp/research/lab01/InsectInDB_Workbook/
アゲハFさんの様々な「問い」をはじめ、当館の研究活動に関心をもつすべての方に、このデータベースを活用していただき、すこしでもそれぞれの方の発見につなげていただきたいという思いで運用しています。よろしければぜひご活用ください。データベースを使われて、お気付きのことがありましたらお知らせください。
