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2025.09.04

アゲハ幼虫の便が数珠状になっていました

むちむちいもむし

キアゲハ終齢幼虫の飼育容器を掃除していたときに,数珠状に繋がっている3粒の糞を見つけました。
糞と糞の間はとても細く短い繊維のような物で繋がっていました
食草として与えてたニンジンの葉がかなり硬かったので消化しにくかったのでしょうか?
またこの3粒の糞は数分以内に次々と排泄されたのか,それとも一粒排泄してから次の糞が出るまでにそれなりに時間が空いていたのか気になります。
撮影しようと数珠を動かしたところ残念ながら写真を撮る前に粒がバラバラになってしまいました。
今度見つけたら絶対に写真に収めたいのですがこのようなことはどれくらいの頻度で起こるのでしょうか?

2025.09.04

1. 尾崎克久(昆虫食性進化研究室)

幼虫の観察、素晴らしいですね。数珠状のフンは、時々見られる現象です。
ご提示いただいた内容は、非常に的確な推察だと思います。

【数珠状のフンの正体】
フンがお尻からすぐに落ちずに、次のフンに押し出される形で繋がってしまったものと考えて、ほぼ間違いありません。その「繋がっている繊維のようなもの」の正体は、主に囲食膜(いしょくまく)だと思います。

多くの昆虫の幼虫は、食べたものを消化管の途中で「囲食膜」という薄い膜で包みます。囲食膜は、ソーセージの皮のような役割をしています。これは、硬い植物の繊維などから繊細な消化管を守るためにあると考えられています。

フンとして排出される際、通常はこの囲食膜もちぎれて一粒ずつ落ちていきます。しかし、何らかの理由でこの膜がちぎれずに残ると、次のフンと繋がったまま排出され、数珠状になることがあります。

【ニンジンの葉の硬さとの関係】
ご指摘の「ニンジンの葉が硬かった」という点は、数珠状のフンができる一因になった可能性があります。

* 繊維が消化されにくい: 硬い葉の繊維は消化されにくく、フンの中に多く残ります。
* 囲食膜が強くなる: この未消化の繊維が芯のようになり、囲食膜を補強する形で繋ぎ止め、ちぎれにくくした可能性が考えられます。

つまり、「未消化の繊維」と「フンがすぐに落ちなかったこと」の両方が合わさって起きた現象ではないかと推測されます。観察と推察、両方とも的を射ています。

【フンが排出される時間間隔について】
終齢幼虫は食欲が旺盛で、絶えず食べ、消化し、排泄を繰り返しています。そのため、フンの粒は数分から数十分といった短い間隔で次々と排出されます。

一粒ずつに長い時間が空いているわけではなく、比較的短い時間で立て続けに排泄された結果、数珠のような形になったと考えてよいでしょう。

【観察できる頻度について】
これは「時々見られる」というくらいの頻度です。毎日観察できるほど頻繁ではありませんが、決して極めて珍しい現象というわけでもありません。飼育していると、何度か目にする機会があると思います。

* 食草の状態: 特に少し硬くなった葉や、繊維の多い部分を食べた後などに見られる可能性が高まるかもしれません。
* 幼虫の個体差や体調: 個体によっても差があるようです。

次にこの現象を見つけた際は、ぜひ慎重に撮影してみてください。幼虫の面白い生態の一コマを記録できる、貴重なチャンスです。素晴らしい観察眼ですね。

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