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2025.09.11

キアゲハ 蛹化失敗 農薬のせい?

もぢゃを

毎年フェンネルでキアゲハを飼育しています。この夏も30羽くらい羽化させましたが、今回もうあと1日くらいで蛹になるであろう幼虫数匹を室内に保護し、7月ごろにホームセンターで苗で購入して、ようやく育ってきたパセリの葉を最後に与えようとして一緒に入れておきました。(今まではフェンネルを与えていたのですが、さすがに食い尽くされてきたので、パセリにしたのです)
 が、数時間後に飼育箱の中を見ると2匹が死亡、2匹が臭角を半分出して衰弱、1匹が前蛹状態からあっというまに蛹化してしまいました(ただし黒い液体にまみれて、明らかに不完全な状態です)。あと1匹も前蛹まえの糸をかける状態でストップしています。
 明らかにパセリを食べて状態が悪くなった感じです。パセリの苗の段階で脱皮(蛹化?)阻害剤が与えられていて、この蛹化のタイミングでパセリをかじり、農薬にやられたと推測します。
 植えてから2ヶ月以上たったパセリですが、農薬の効果がずっと効いているということですね。

2025.09.12

1. 尾崎克久(昆虫食性進化研究室)

終齢幼虫が次々と異常をきたす様子は、ご心痛のこととお察しいたします。

ご提示いただいた状況について、私の見解を述べさせていただきます。

農薬の可能性について

ご推察の通り、購入した苗に残留した農薬(特に浸透移行性の殺虫剤)の影響は、完全に否定することはできません。おっしゃるように、蛹化のタイミングで作用する脱皮阻害剤のような農薬も存在します。植え付けから2ヶ月が経過していても、植物の体内に成分が残留している可能性はあります。

食草変更の影響について

しかし、それとは別に、あるいはそれ以上に可能性が高いと考えられるのが、「食草の変更による影響」です。

キアゲハの幼虫は、同じセリ科の植物であっても、生育段階の途中で食べる植物の種類が変わると、うまく適応できずに死んでしまうことがよく観察されます。

今回の場合、幼虫はずっとフェンネル(ウイキョウ属)を食べて育ってきました。そこに、同じセリ科ではありますが分類群の「属」が違うパセリ(オランダゼリ属)が与えられました。

植物は属が違うと、含まれる化学物質が微妙に異なります。幼虫の消化器官は、それまで食べてきたフェンネルの成分を分解・解毒するように最適化されています。そこに突然パセリが入ってきたことで、うまく消化・解毒できずに中毒のような症状を起こしてしまった可能性があると考えられます。

臭角を出して弱ったり、黒い液体を排泄して不完全な蛹になったりする症状は、解毒不全による体調不良の典型的な例ではないかと思われます。

アゲハ類の飼育では、一度食べ始めた食草を最後まで与え続けることが、無事に羽化させるためのポイントの一つです。

今回の件は残念でしたが、この経験が今後の飼育の参考になれば幸いです。

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