研究
2025.11.02
ナミアゲハのフン
ひなた
初めまして。
ナミアゲハに与える人工エサの研究をしています、中学一年生です。
人工エサにきな粉を混ぜており、ナミアゲハが消化できているのか、終齢幼虫の分析した結果、葉を食べている幼虫の3倍のタンパク質を排泄していました。
これは、きな粉のタンパク質を消化吸収できていないと考えて良いでしょうか?
消化吸収した上で、タンパク質として排泄されているのでしょうか?
元々食草には含まれていない物なので、消化できていないかもしれないと思っています。
(シルクワームフードにはタンパク質が添加されているので、そのタンパク質とは何なのかも考えています。)
どう調べれば良いかわからず、質問しました。
よろしくお願いいたします。
2025.11.11
1. 尾崎克久(昆虫食性進化研究室)
いただいたご質問について、まず前提として、人工飼料の組成(きな粉以外の材料や、それぞれの割合)が分からないので、断言はできませんが、考えられることをお答えします。
フンにタンパク質が多い理由を考える上で、まず確認したいことがあります。
「きな粉を添加した人工エサ」と「(比較対象の)生の葉」とで、幼虫が食べる前のタンパク質量はどのくらい違うか、という点です。
きな粉は大豆が原料で、非常にタンパク質が豊富な食材です。
おそらく、生の葉と比べて、きな粉を添加した人工エサはタンパク質の含有量が格段に多くなっているのではないでしょうか。
もしそうであれば、幼虫が消化吸収できるタンパク質の量には限界があるため、「消化吸収しきれなかった分のタンパク質」が、そのままフンとして多く排出されている可能性が考えられます。
# 大豆タンパク質の消化について #
「元々食草に含まれていない物なので、消化できていないかもしれない」という視点、とても大切です。
しかし、ご指摘のシルクワームフード(カイコの餌)や、市販されている昆虫用人工飼料「インセクタ」なども、実は大豆の粉を基本の材料として作られています。
このことから、多くの昆虫は大豆(きな粉)由来のタンパク質でもある程度は消化・吸収できるのではないかと考えられます。
フンのタンパク質が多いのは、「全く消化できていない」からではなく、「エサのタンパク質が多すぎて、消化・吸収した上で、さらに余った分(消化しきれなかった分)が排出されている」結果ではないかと推測します。
フンの成分分析に着目するとは、大変鋭い研究だと思います。
応援しています。