生命誌三つの表現 ー生命誌絵巻、新・生命誌絵巻、生命誌マンダラー

開館時から十年毎の節目に創った3つの絵。生命誌の基本を、わかりやすく、美しく、しかも考えを深めるものとして表現してきました。

生命誌絵巻

協力:団まりな/
画:橋本律子
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多様な生きものが長い時間の中で誕生した歴史と関係を表現。

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新生命誌絵巻

画:和田誠
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生きものの歴史と地球の動きの関係を表現。

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生命誌マンダラ

画:中川学、尾崎閑也 画像を拡大する

個をかたちづくる階層性を表現。

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生命誌三つの表現統合化

まず、3つの表現を統合しました。また、それぞれの表現に動きを与えてその考えをより具体的に伝える試みをしました。統合図の円錐の中心軸と底面の放射方向の軸は、それぞれゲノムが生きものの時間と階層とを貫くことを示しています。

この表現を総合知を探る一歩にしたいと考えています。

生命誌絵巻

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生命誌(Biohistory)の考え方を、どなたにもわかっていただけるように、しかも美しく表現しようと思い開館時に描いたのが生命誌絵巻です。生命体の基本である細胞内のDNAをゲノムという総体として捉えることで、生命とはなにかという知を組み立てるには、まずゲノムに書きこまれている生きものの歴史と相互の関係を読み解かなければなりません。絵巻にはそれを描きました。

⑴ 生物多様性:地球上には135万種ほどの生物が棲息しているとされます(熱帯雨林には数千万種いるとも言われます)。扇の天にそれを描きました。⑵祖先細胞は38億年前:これほど多様な生物もすべてゲノムを持つ細胞から成り、それは一種の祖先細胞から進化してきたからであると考えられます。扇の要が生命の起源です。⑶すべての生物は38億年の歴史をもつ:現存生物はその細胞内のゲノムに38億年の歴史を抱え込んでおり、それを読み解くことで誕生し、育ち、暮らしています。⑷人間も生きものの一つ:私たち人間はヒトという生きものとして、他の生きものと38億年の歴史を分かち合っています。進化、evolutionは展開するという意味であり、絵巻をひらく時にも用いる言葉であることを知り、これだと思いました。進化の進という文字に惑わされて、よりよくなるように考えがちですが、生きものの歴史は多様化であり、まさに展開です。絵巻は、時間を感じる日本文化特有の物語りの表現であり、時間に注目する生命誌の表現にピッタリです。絵巻を見ていると、実験室に閉じこもらず自然に眼を向ける気持になります。自然界の生きものを見つめてのさまざまな研究成果を絵巻の中に書き込みながら、生きものの歴史物語を読んでいきます。

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新生命誌絵巻

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オサムシの研究から、地面を這っているオサムシの分布が日本列島の形成を反映していることがわかり、驚きました。でもすぐに、生きものは地球の上に暮らしているのだからこれがあたりまえということに気づき、自然の全体を見るようになりました。そこで10周年を期して、地球の動きを取り入れた新・生命誌絵巻をつくりました。生命誌絵巻に加えて次のことを描きました。

⑴ 生物多様性の詳細:135万種の生物を分類すると、その65%ほどは昆虫とわかります。生態系にとって昆虫のもつ意味は大きいのです。⑵ 地球の変化:46億年前に誕生した地球に海ができ、生命体が誕生してからの地球と生きものの関わりに注目します。⑶ 氷河期と絶滅:スノーボールアースと呼ばれる時期など、地球には何度かの氷河期がありました。また、5億年ほど前のオルドビス紀以降5回もの絶滅があります。生命誌は生きものだけを見ていてはわかりません。地球の動きとの関わりが大事です。実は、気温、湿度、大気の形成などの変化は、火山活動や大陸移動など地球の動きだけでなく生物のはたらきによっても起こります。生きものあっての地球、つまり地球はまさに生命の星なのです。しかし、ここで生きていくことが生易しいものではないことも確かです。くり返し起こる絶滅を体験しながらも、決して絶えることなく38億年も続いてきた生命体はなんとしたたかなことかと思います。このしたたかさの陰にある、環境と対応しながら融通をきかせる生きもの特有の仕組みを知ることが生命誌を読み解く鍵でしょう。難しい課題ですが、この鍵を探すのが大事なテーマです。

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生命誌マンダラ

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生命誌絵巻では、生きものの多様性、全体性を意識しながらそれを支える歴史と関係に注目しました。生きものの特徴としてはその他に階層性、自己創出性が重要です。ゲノムはこれらの性質とも関わっています。「私のゲノム」(個体)は、「ヒトゲノム」(種)であり、また私を構成する「細胞のゲノム」でもあります。中央にある受精卵から分化した多様な細胞は、同じゲノムを持ちながら存在する位置と成長の時間に合わせて適切な遺伝子が発現することで、多様な組織・器官をつくりはたらきます。

つまりゲノムはすべての階層を貫いているのです。自然・社会は共に階層性を持ち、それを知ることが大事ですが、そこにはゲノムに当たるものが見つかっていません。他には存在しないこの特徴を生かして自然・生命に関わる知を組み立てたいと思います。生命誌マンダラにはまた、受精卵から個体ができ上がっていく発生の時間が組み込まれています。受精卵は自己創出能を持ち、時間と共に細胞を分化させ、組織や器官をつくり階層を生み出すのです。第6層では、多様な個体が集まって種をつくり、生態系を作ることを示しました。ここには多様性が示されています。第7層はそれが過去にも存在したことを示しています。生物界には、一細胞が一個体であり階層性を持たない原核生物が存在します。そこから真核細胞が生まれて多細胞生物となり、階層性が生じたのです。つまり原核細胞の中に階層性をもつ生物を生み出す潜在能が存在したわけです。そこで、中央の細胞を始原細胞(原核)とすることで、階層性を生み出す歴史をも考えようと、第7層に過去の生きものを配置し、歴史性を含めました。本質を示すというマンダラの基本に学び生命体の本質を見て行こうと思います。

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