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ウイルスという言葉を聞かない日はない日々が続いています。ウイルスは生きものの細胞に入って増え細胞を壊して次に移動する存在です。それに対して細胞は、さまざまな防御を編み出し、そのせめぎ合いが、生命誕生以来、生きものにさまざまな影響を与えてきました。1mmの1万分の1以下の小さなウイルスの巧妙なしかけを工作で手にとりましょう。

ウイルスはどんな生物より小さいと考えられていましたが、アメーバに感染するウイルスから小型のバクテリアよりも大きなウイルスが発見されました。サイズは750nm、周りにフサフサした繊維が生えた姿でアメーバの餌のバクテリアをまねて(mimic)おり、食べられて感染するので「ミミウイルス」と名づけられました。その後も巨大なウイルスが次々見つかり、真核生物、原核生物と並ぶ「生物」ではないか、すでに絶滅した生物が寄生体に変化したのではないか、などさまざまな見方があります。

ミミウイルスの仲間は、感染した宿主の細胞にタンパク質合成装置などを集めたウイルス工場をつくり、大量のウイルスを生産します。ところが、工場から不良品のウイルスがでてくる現象が見つかったので調べたところ、ウイルス工場の装置を乗っ取って別な小さなウイルスが増えており、主人のミミウイルスの組み立てを妨げていたのです。小さなウイルスは「スプートニク」と呼ばれ、ミミウイルスを抑えることで宿主のアメーバを守る免疫の役目をするとも言われます。生きものに寄生するウイルスにさらにウイルスが寄生して生きものを支える、生きものとウイルスをめぐる連鎖の面白さです。

参考文献:Journal of Virology 91(22), e01335-17(2017) PLoS Biol 6(5), e114(2008) Nature 455, 100–104 (2008)

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3/16(土)15:00〜

個体発生は進化をくりかえすのか