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研究館より

中村桂子のちょっと一言

2019.12.16

単純と言われようとも本質を語り、行動することの大切さを思います

私はカトリックの信者ではありませんが今回の教皇フランシスコの来日には強い関心を持ちました。来日なさった教皇はお二人目。1981年に教皇として初めて来日なさったヨハネ・パウロ2世は、「ダーウィンの進化論」について議論を重ね、それを一つの考え方として認める回勅を出された方です。そこには、私たち人間の身体は他の生きものたちとつながっていることを示した科学の成果を認め、しかしそこに神によって創られた霊魂が与えられたのだと書かれています。その前にガリレオの例がありますが、宗教と科学を対立するものと捉えるのではなく、共に人間とはなにかを深く考える行為であるとする姿勢に心打たれます。

そしてお二人目の教皇来日です。フランシスコ教皇は行動の人であり、回勅ではなく対話によって信仰や思想を異にする人々とも連帯しようとしており、更に一歩進んだ方だと思います。とくに長崎と広島を訪れ、そこから世界に向けて核廃絶を進めるための団結を呼びかけられた行為はすばらしいです。一語一語ていねいに考えられたお話は心に響くものでした。現実を見なさいとよく言われますが、核による抑止という考え方は普通に考えたらバカバカしい話であり、核兵器を持たないのが人間として当然の行為でしょう。でもそれがなかなか通用しません。フランシスコ教皇は、質素な日常を送っていらっしゃり、自然はそれを支配するために与えられたのではなくそれを守り後世へ受け継ぐようにと与えられたのだとのお考えと伺います。そのような教皇というお立場で、この呼びかけを続けてくださることで人間がほんとうに賢く、幸せに生きる社会へ向かうようになるとよいと願います。久しぶりにとても気持のよいお話を伺い、人間諦めてはいけないと思った次第です。

中村桂子 (館長)