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研究館より

中村桂子のちょっと一言

2022.06.15

世界では農業が変わっているようです: 付録 アミノ酸

毎日のニュースを見ていると気が滅入るようなことばかりで、人間不信に陥ります。人間はこんなに強欲で、権力志向で、自分勝手で、品のない存在だったかしら(この一つ一つの言葉を書く時、思い浮かべている顔があります)と情けなくなります。

この人達に任せておいたのでは明るい未来は見えませんので、本当に大事なことは何だろうと考えると農業が浮かびます。皆が楽しく生き生き暮らせる社会を支える基本は、やはり食べものでしょう。5Gやメタバースでは、安定した安心感のある社会はつくれません。

そこで農業に目を向けると、とても明るい気持ちになる動きが見えているように思えます。「土」への関心が高まっているのです。それも二つの方向から。

一つはアフリカなど、いわゆる開発途上国で飢餓の恐れを感じている地域、もう一つはアメリカなどの先進国です。具体的な動きはそれぞれ違いますけれど、共に進歩でなく進化を(機械論でなく生命論を)になっており、生命誌と重なるところがいいなと思っています。

具体の紹介は長くなりますので一例だけ。アフリカで「アグロエコロジー」としてトウモロコシとマメとカボチャの組合せを「スリーシスターズ」と呼び、肥料・農薬・除草剤などなしで土を豊かにする方法を、女性が中心になって進め、みごとな成果をあげています。女性たちの溢れるような笑顔が魅力的で、これはうまく行くと思わせます。多様性・地域性を活かした女性主体の活動は信頼性が高く根づくものです。
 
送ろうとしているところに、「はやぶさ2」が持ち帰った砂や石の分析結果が報道されました。詳細はこれからですが、LとD合わせて20種以上のアミノ酸検出となると、生きものとつながる様々な事柄が頭に浮かびます。ただ、新聞などが、地球の生命の材料が宇宙からやってきたことを示すと言っているのはどうでしょう。地球でも同じことが起きたとも考えられますから。宇宙のあちこちでアミノ酸ができていたとなると、地球以外に私たちと同じタイプの生命体が存在する可能性が大いに高まります。わくわくしながら詳細の発表を楽しみに待ちましょう。
 

中村桂子 (名誉館長)

名誉館長よりご挨拶