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研究館より

中村桂子のちょっと一言

2023.12.01

若いお仲間ができました。楽しみです。

京都の高校生と地球環境について話し合いました。京都府が募集をしてこれからの社会のことをよく考えている生徒さんを5人選んで下さったからでしょうが、皆しっかりした考え方をしているのに驚きました。私の高校時代ははるかに子どもだったなあと思いました。

一つは時代かもしれません。私の頃は、太平洋戦争が終わってそれほど経っていませんので、社会全体がまだ貧しく、これからよくなるのだという期待がありましたから、大人を信用していました。気持ちが明るかったのです。今年のように異常気象としか言えない日々の続く中、皆で協力して暮らし方を考えなければならないはずですのに、ばからしい戦争を始め、誰もそれを止められないでいる大人に将来は任せられないと若い人たちが思うようになって当たり前です。自分たちで考えなくてはあぶないぞ。

熱心に考えていて頼もしいのですが、ちょっと長く生きている立場から見ると、すぐに変えなければならないとは思うのだけれどどうしたらよいかわからず焦っているような気がしなくもありません。確かに、焦らなければいけないところまで来ているとは私も思います。でも、ただ焦ってもダメ。

そこで私のできることは、若い人たちに生命誌を伝え、仲間に誘うことです。「人間は生きもの。自然の一部」というところに立って、身近な食べ物のこと、ごみのことなどを、単に環境問題として捉えるのでなく、生きものの立場で考えようと提案しました。野菜のゴミは生きものなので燃やしてはいけないでしょうというように。人間の持つ大事な能力である想像力を働かせて、あらゆるものについて、これはいったい何もので、どこから来たのか、どこへ帰らせなければいけないのかを考えることが大事です。こう考えると、何をしたらよいかが見えてきますし、楽しくなります。ゴミ問題などと言わず、生きものとして考えること。そうすると、生きものの研究への興味もわきますから考えは広く、深くなると思います。ゴミだけではありません。格差の問題も戦争も、生きものというところから見ると、今やっていることのおかしさ、どのように変えればよいのか、という道が見えてきます。

高校生はとてもよく分かってくれて、これからも一緒に考えようということになりました。楽しみです。
 

中村桂子 (名誉館長)

名誉館長よりご挨拶