中村桂子のちょっと一言
2025.05.01
44の二乗と45の二乗
数字遊びが大好きなクラスメイトがいました。私の学生時代は、電車に乗るには駅の窓口で行き先を言って切符を買い、改札で駅員さんにハサミを入れてもらうという一連の儀式が必要でした。改札口の柵の中でハサミをパチパチやりながら待っている駅員さんとは、切符の受け渡しをするだけで話しかけるわけでもないのですが、何か交流があるような気がしたものです。今や、SuicaやICOCAやPASMOなど、これ一枚あればほとんどの駅の改札口を通れるという便利な世の中です。でも、初めての駅などでどの改札を出たらよいのかわからず、キョロキョロしながら人がいて欲しいと思うこともよくあります。
話はどんどんそれていきましたが、最初に言った数字遊び好きの友人と一緒に電車に乗ると、必ず「何番だい」と聞かれます。切符に書いてある四桁の数字をあれこれ計算して答えが10になるようにするのがまずやること。たった四桁の数字でもいろいろ遊びました。時に全部同じ数字が並んでいたり、誕生日と同じ並びだったりすると、その日はついているような気がしたものです。のんびりしたよい時代でした。
そこで話は本番に入ります。その数字大好き友人が、ある時「ぼくたちの生まれた年は442なんだよな」と言うのです。計算なさってみて下さい。確かに442=1936です。そして「だからさ。452まで生きようよ」と言って、手元にあった紙に<442から452:その年まで元気に暮らします>と書いたのです。そこにいた仲間が署名、もちろん私も名前を書きました。452=2025。そうです。今年なのです。452なんてはるか先のことと思い、現実味などまったくないままに、名前を書いた時のことを思い出します。
ところで462=2116。次の世紀です。この頃はどうなっているのでしょう。さすがにもう署名はしませんが、今年生まれた赤ちゃんが今の私くらいの年齢になる年です。どんな世の中なのかなと考えはします。もしかしたら人間はいないということだってあるかもしれないと思うと、ちょっと気になります。
話はどんどんそれていきましたが、最初に言った数字遊び好きの友人と一緒に電車に乗ると、必ず「何番だい」と聞かれます。切符に書いてある四桁の数字をあれこれ計算して答えが10になるようにするのがまずやること。たった四桁の数字でもいろいろ遊びました。時に全部同じ数字が並んでいたり、誕生日と同じ並びだったりすると、その日はついているような気がしたものです。のんびりしたよい時代でした。
そこで話は本番に入ります。その数字大好き友人が、ある時「ぼくたちの生まれた年は442なんだよな」と言うのです。計算なさってみて下さい。確かに442=1936です。そして「だからさ。452まで生きようよ」と言って、手元にあった紙に<442から452:その年まで元気に暮らします>と書いたのです。そこにいた仲間が署名、もちろん私も名前を書きました。452=2025。そうです。今年なのです。452なんてはるか先のことと思い、現実味などまったくないままに、名前を書いた時のことを思い出します。
ところで462=2116。次の世紀です。この頃はどうなっているのでしょう。さすがにもう署名はしませんが、今年生まれた赤ちゃんが今の私くらいの年齢になる年です。どんな世の中なのかなと考えはします。もしかしたら人間はいないということだってあるかもしれないと思うと、ちょっと気になります。
中村桂子 (名誉館長)
名誉館長よりご挨拶