中村桂子のちょっと一言
2025.05.15
未来は明るいと感じた素敵な半月
今月の前半は、この季節にふさわしくとても気持ちの良い旅を二つしました。一つは「瀬戸内国際芸術祭2025」への参加です。もう一つは、北海道美唄市での小学校農業科の活動をしている子どもたちと時間を共にすることを主に、「生きものとしての農業」を考える旅でした。
世の中の動きは決して明るいとは言えない中、四国と北海道での体験は、どちらも心洗われるものでした。長旅で疲れるかしらという危惧はどこかへ吹っ飛び、明るい未来が期待できるという気持ちで帰ってきました。日本のあちこち、特に大都会ではないところで、「生命誌」につながる活動が、たくさん行われていると実感します。
たくさんの体験の中から、今日は一つ。エップ・レイモンドさんと荒谷明子さんご夫妻が「大地再生農業(不耕起栽培)」に取り組んでいらっしゃる「メノビレッジ長沼」の訪問を記します。実は、お二人については、先月訪れた下関の「遊びの学校」で教えていただき、北海道に行きますので是非とご紹介いただいたのです。幸い、「生命誌」には関心を持っていて下さったとのことで歓迎していただきました。
「生きものとしての農業」の本命は大地再生農業だと思っていましたので、その現場を訪れることができたのは幸せでした。不耕起で麦を育てています。麦の周りには、いわゆるカヴァークロップとして種をまかれた草たちが花を咲かせており、少し離れたところでは、草を食べて糞をしてくれる羊たちが楽しそうに走り回っています。今年は48頭も生まれ、中には三つ子もいたとか。親が元気な証拠だと笑っていらっしゃいました。大人は、夏向きに毛を刈られてすっきり、子どもは軟らかい毛に包まれてむくむくです。
土は、まさにミミズのつくった団粒構造でふっかふか、一本抜いて見せて下さった麦は、無数と言ってもよい根を伸ばしています。人間が変に手を加えずに、自然に託せば素晴らしい力を見せてくれることがよくわかりました。
今は収穫も充分の素晴らしい農場ですが、実は、始めてから5年は不作でどうしてよいか分からなかったのだそうです。この農法を具体化したパイオニアと言える米国のゲイブ・ブラウンも最初の4年間は絶望の毎日だったと言っています。5年目に、突然ミミズが登場するのです。自然は時間を求めるのですね。信念を持って努力を続けたからこその成果と納得しました。たくさん、たくさんお話をし、たくさんたくさん書くことがありますが、今日はこの辺で。
美唄の子どもたちの素晴らしさも含めて、次に続けます。
世の中の動きは決して明るいとは言えない中、四国と北海道での体験は、どちらも心洗われるものでした。長旅で疲れるかしらという危惧はどこかへ吹っ飛び、明るい未来が期待できるという気持ちで帰ってきました。日本のあちこち、特に大都会ではないところで、「生命誌」につながる活動が、たくさん行われていると実感します。
たくさんの体験の中から、今日は一つ。エップ・レイモンドさんと荒谷明子さんご夫妻が「大地再生農業(不耕起栽培)」に取り組んでいらっしゃる「メノビレッジ長沼」の訪問を記します。実は、お二人については、先月訪れた下関の「遊びの学校」で教えていただき、北海道に行きますので是非とご紹介いただいたのです。幸い、「生命誌」には関心を持っていて下さったとのことで歓迎していただきました。
「生きものとしての農業」の本命は大地再生農業だと思っていましたので、その現場を訪れることができたのは幸せでした。不耕起で麦を育てています。麦の周りには、いわゆるカヴァークロップとして種をまかれた草たちが花を咲かせており、少し離れたところでは、草を食べて糞をしてくれる羊たちが楽しそうに走り回っています。今年は48頭も生まれ、中には三つ子もいたとか。親が元気な証拠だと笑っていらっしゃいました。大人は、夏向きに毛を刈られてすっきり、子どもは軟らかい毛に包まれてむくむくです。
土は、まさにミミズのつくった団粒構造でふっかふか、一本抜いて見せて下さった麦は、無数と言ってもよい根を伸ばしています。人間が変に手を加えずに、自然に託せば素晴らしい力を見せてくれることがよくわかりました。
今は収穫も充分の素晴らしい農場ですが、実は、始めてから5年は不作でどうしてよいか分からなかったのだそうです。この農法を具体化したパイオニアと言える米国のゲイブ・ブラウンも最初の4年間は絶望の毎日だったと言っています。5年目に、突然ミミズが登場するのです。自然は時間を求めるのですね。信念を持って努力を続けたからこその成果と納得しました。たくさん、たくさんお話をし、たくさんたくさん書くことがありますが、今日はこの辺で。
美唄の子どもたちの素晴らしさも含めて、次に続けます。
中村桂子 (名誉館長)
名誉館長よりご挨拶