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研究館より

ラボ日記

2020.06.15

在宅勤務から得たこと

新型コロナウイルスの感染拡大は、世界ではまだまだ収束の目途が立っていませんが、日本では収まりつつある状況になったため、日常は少しずつ戻ってきました。生命誌研究館でも今月から研究室での活動ができるようになりました。2ヶ月近くの在宅勤務は、多かれ少なかれ研究活動に影響を与えたことは間違いありません。例えば、予定していた海外の研究材料の収集が余儀なく中止されましたし、県外の野外実験も延期となりました。しかし、この期間中に得たものも確実にありました。それは時間です。研究生活の人生においてこれほど時間の余裕を頂いたのはおそらく初めてのことでしょう。全てのことがゆっくり進むようになったような感覚で、「時間がない」と「時間が足りない」というこれまでの日常は何だったのでしょうか。

論文の読み書きは研究者にとってこれ以上必須なことはないと思います。しかし、忙しい日常の中ではなかなか集中的な時間が取れず、いろんな作業の隙間で論文を読んだり書いたりしている場合は多いです。時間が開いていると、書いた論文の内容を忘れてしまい、ストーリーを思い出すために毎回読み直してから書き始めることになります。効率が悪いのは分かっていても忙しい日常の中ではなかなか解決しません。しかし、今回の在宅勤務はこの問題を見事に解決してくれました。研究活動における“不要不急”なことは何でしょうか。それを整理して時間の余裕がある研究活動の新しい日常ができればと思います。

蘇 智慧 (室長)

所属: 系統進化研究室

カイコの休眠機構の研究で学位を取得しましたが、オサムシの魅力に惹かれ、進化の道へと進みました。1994年から現在に至るまで、ずっとJT生命誌研究館で研究生活を送ってきました。オサムシの系統と進化の研究から出発し、昆虫類をはじめとする節足動物の系統進化、イチジク属植物を始めとする生物の相互作用と種分化機構の研究を行っています。