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研究館より

ラボ日記

2021.01.15

「はやぶさ2プロジェクト」から学ぶ基礎研究のひとつの形

昨年末のはやぶさ2プロジェクトのサンプルリターンミッションの成功は科学者だけでなく、多くの一般の人々を興奮させた。私自身もプロジェクトのホームページやJAXAのYouTubeライブ中継を見て人類の偉業に心を躍らされたひとりである。

小惑星無人探査機「はやぶさ2」は2014年末に打ち上げられ、2018年6月に小惑星リュウグウに到着し、直径約900メートルしかないその小惑星の表面と表面近くの地中から物質を採取し、2019年末にリュウグウを離れ、地球に近づく軌道に入り、2020年末に地球に近づいた所で、採取したサンプルを含んだカプセルを切り離し地球に届け、探査機は次の目的地に向かった。

JAXAが発信する情報に触れて一番感じたのは、このプロジェクトが太陽系の起源、地球の起源、生命の起源を探求することを目的としていることを一貫して表明していることである。まさに自然科学の基礎研究。その基礎研究が人々の関心をこれほどまでに集め、人を感動させていることに光を見た。類似の立場で基礎研究を実践する者として、何か研究のあり方、進め方、見せ方を考えるヒントがあるのではないかとふと思った次第である。また、このJAXAのプロジェクトがリュウグウであったり、初代はやぶさが探査したイトカワであったり、太陽系の原始的状態を残しているかもしれない小惑星に着目した研究であることも、私たちの研究室が節足動物の胚発生の原始的状態を残しているかもしれないクモに着目して研究していることと重なり、私にとって基礎研究のあり方を考える機会となった。

人々の関心をどのように引き込むのか、宇宙へのロマンというだけでなく、挑戦する心や、次世代へ与える夢、ライブ映像で共有する感動の瞬間、言葉を超えた人のつながり、などなど、はやぶさプロジェクトには様々な要素が盛り込まれている。果たして自分の研究はどうか。規模は違うが少しずつでもできることはあるのではないかと思った。

サンプルの解析で何が発見できるのか楽しみである。

動物多様化の背景にある細胞システムの進化に興味を持っています。1) 形態形成に重要な役割を果たす細胞間接着構造(アドヘレンスジャンクション)に関わる進化の研究と、2) クモ胚をモデルとした調節的発生メカニズムの研究を行っています。